ニュース
28 Aug 2024
研究の要約
プログラム細胞死タンパク質1(PD1)のような一部のタンパク質は、免疫系ががん細胞を攻撃するのを阻止し、結果的にがんの増殖を助けることがある。これらのタンパク質を標的とした治療法は非常に有効だが、腫瘍が治療抵抗性を示すことがある。
Huang, Y-H氏らは単一細胞レベルでタンパク質を検出する方法を応用し、メラノーマにおける癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)のパターンを明らかにした。
その結果、複数の異なる種類の免疫細胞におけるCEACAM1発現量の増加が、腫瘍の治療抵抗性と関連していることが明らかになった。
このことは、治療抵抗性メラノーマ患者に対する新たな治療標的となる可能性を示している。
知識のギャップを埋めるのに役立つ可能性がある
効果的ながん治療法を開発するためには、腫瘍の治療抵抗性に関与する因子を特定する必要がある。これまでの研究でCEACAM1は免疫反応を阻害し、その発現レベルが患者の予後不良と関連することが分かっている。
研究方法と得られた知見
マスサイトメトリーを用いて、ヒトCEACAM1特異的抗体を作製・使用し、メラノーマにおけるCEACAM1の免疫的役割の潜在的な細胞基盤、治療状況との関連、PD1およびPD-L1との相対的発現に関する包括的な知見を得た。
著者らは本研究で、CEACAM1が腫瘍微小環境の特定の免疫細胞群(B細胞、単球系細胞、樹状細胞、T細胞のサブセットを含む)に存在し、その存在が治療抵抗性を示す腫瘍と関連していることを明らかにした。
本知見の意義
本研究の結果、CEACAM1とメラノーマに対する免疫系の反応との関係、また免疫制御に関与する他のタンパク質と比較する方法が明らかになった。
この研究は、CEACAM1が免疫チェックポイント阻害剤などの治療に抵抗性を示すメラノーマ患者の治療標的となる可能性があることを強調している。
次なる段階
研究者らは今後の研究で、CEACAM1が腫瘍微小環境においてどのように作用するのか、免疫細胞のタイプに特異的なメカニズムを解明することを目指している。
本研究はNature Communication Medicine誌に報告された。
(2024年8月7日公開)