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e-cancer:血液がん 一般的な降圧薬が、心臓を保護しながら白血病の化学療法への反応性を高める可能性がある

01 Aug 2024

University of Missouri School of Medicine の研究者らは、標的遺伝子療法が急性骨髄性白血病(AML)の化学療法に対する感受性を高め、同時にがん治療によってしばしば引き起こされる毒性から心臓を保護する可能性があることを発見した。

急性骨髄性白血病は成人における最も一般的なタイプの白血病であり、その結果生じる化学療法治療により患者の心臓損傷リスクが増加する可能性がある。

医学部准教授のXunlei Kang博士と博士課程学生のYi Pan氏とChen Wang氏は、白血病と心血管系疾患の類似性を調べる研究を主導した。

彼らは共通の標的を発見した。細胞の再生を司る受容体であるAGTR1が白血病患者の血液細胞に過剰に存在していた。

研究者らは、高血圧治療薬として一般的なロサルタンを用いて、マウスのAGTR1受容体を阻害した。

これによりがんの増殖が阻害され、白血病の進行が遅くなり、生存期間が延長した。

次のステップは、ロサルタンの人間の白血病患者に対する有効性のさらなる調査である。

「白血病のマウスモデルは、免疫系、骨髄微小環境、治療に対する反応の違いなど、ヒトの疾患とは異なる点がいくつかある」と、Pan氏は述べた。

「われわれは今後、これらの知見を慎重に解釈し、人間での試験で検証して、トランスレーショナルな関連性を確認するつもりである」と、Pan氏は語った。

これらの知見が人間での臨床試験で確認されれば、ロサルタンはすでにFDAの承認を受けており、薬に関する包括的なデータを必要としないため、ロサルタンを使用するための承認プロセスは他の薬に比べて短くなるだろう。

「AGTR1阻害剤ロサルタンをマウスに投与したところ、この市販薬が化学療法誘発性心毒性から保護しつつ、AMLの進行の抑制に有望であることが確認された」と、Kang氏は述べた。

「この発見は、心臓を保護しながら化学療法を成功させる大きな可能性を示している」

Xunlei Kang 博士(医学博士)は、MU School of Medicine医学部の准教授であり、血液疾患と幹細胞の研究に重点を置いている。同博士は、中国のShanghai Jiao Tong Universityで医学の学位と博士号を取得した。

“Inhibiting AGTR1 reduces AML burden and protects the heart from cardiotoxicity in mouse models”というこの論文はつい先日、Science Translational Medicine 誌に掲載された。

Kang氏、Pan氏、Chen氏に加え、専門研究員のWenxuan Zhou氏とYao Shi氏;博士課程の学生XiaDuo Meng氏、血液学・腫瘍内科フェローのYasir Muhammad医学博士;Richard D. Hammer医学博士(臨床病理学・解剖科学教授);De-Pei Li医学博士(医学部教授・精密医療センター副センター長);Zhenguo Liu医学博士(医学部教授・循環器科部長);および血液・腫瘍内科部長のGerhard Hildebrandt医学博士が著者である。Penn State University College of Medicine のBei Jia氏とHong Zheng氏も論文に貢献している。

 

https://ecancer.org/en/news/24945-common-blood-pressure-drug-may-make-leukemia-more-responsive-to-chemotherapy-while-protecting-heart

(2024年7月1日公開)

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