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08 Jul 2024
研究者らは、加齢に伴い女性の2本のX染色体のうち1本のコピーが失われる可能性を予測する遺伝的変異を特定した。この現象はX染色体のモザイク喪失、またはmLOXとして知られている。
これらの遺伝子変異は、X染色体のコピーを1本しか持たない異常な血液細胞の増殖を促進し、がんを含むいくつかの疾患を引き起こす可能性がある。
この研究は、National Institutes of Healthの一部であるNational Cancer Instituteの研究者が共同で主導し、Nature誌に掲載された。
mLOXの原因と影響をより理解するため、研究者らは8つのバイオバンクに登録されている約90万名の女性の循環血中の白血球を分析したところ、そのうち12%がmLOXを発現していた。
研究者らは、自己免疫疾患及びがん感受性に関連する遺伝子の近くに位置する56の一般的な遺伝子変異を特定した。これらの遺伝子変異はmLOXの発現に影響を与えた。さらに、FBXO10として知られる遺伝子の稀な変異は、mLOXのリスクを2倍に増加させることと関連していた。
mLOXの女性において、研究者らはX染色体上の遺伝子変異も特定した。これらの変異は、失われたX染色体上よりも保持されたX染色体上でより高い頻度で観察された。
これらの変異は将来、mLOXが発現した際にX染色体のどのコピーが保持されるかを予測するために利用できる可能性がある。
これらの変異のあるX染色体のコピーは成長上の利点があり、女性の血液がんリスクを高める可能性があるため、これは重要なことである。
また、研究者らはmLOXと1,200以上の疾患との関連を調査し、白血病のリスク増加及び肺炎を引き起こす感染症への感受性との関連について、これまでの研究結果を確認した。
今後の研究は、mLOXが、他のタイプの遺伝子変異や加齢に伴う変化とどのように相互作用し、疾患リスクを変化させる可能性があるかに焦点を当てるべきだと、研究者らは示唆している。
(2024年6月13日公開)