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27 May 2024
Black skin cancer(メラノーマ)が広がった場合、さまざまな治療法がある。
しかし、誰がどの治療法で効果が得られるのか、時間の経過とともに耐性が発現する可能性があるのかについては、まだ十分な研究がなされていない。
University Hospital Bonn (UKB)のClinic for Dermatooncology & Phlebology at the Centre for Skin Diseasesの助手であるSimon Fietz博士と、UKBのClinic and Polyclinic for Otorhinolaryngologyの研究者であるDimo Dietrich博士は、新たな研究で、特定のリキッドバイオプシーバイオマーカーが、治療の有効性を早期に特定できる可能性があることを発見した。
これにより、メラノーマ患者に対してより個別化された治療が可能となる。
この結果は現在、定評のある学術誌Clinical Chemistry誌に掲載されている。
PD-1阻害剤による免疫療法は、メラノーマ患者に対する一般的な緩和療法および補助療法である。
「しかし、この治療法はすべての患者に効果があるわけではない。耐性を有する患者や治療中に耐性を示す患者もいる」と、University of Bonnでも研究を行うFietz博士は述べる。
「われわれは、誰が治療効果を得られるのか、いつ治療法を変更すべきかを、早期に解明するために利用できる方法を開発した」
バイオマーカーは重要な情報をもたらす
研究者らは、腫瘍の有無に関わらず患者の血液を分析してバイオマーカーを調べ、特定のバイオマーカー(血漿中の循環無細胞DNAのSHOX2メチル化)が腫瘍細胞に直接由来することを発見した。
緩和療法を受けている患者42名、抗PD-1免疫補助療法を受けている患者55名をこれらの数値をがんに罹患していない対照患者126名と比較した。
Fietz博士とDietrich博士の研究グループは、治療に対する反応と生存率を予測および評価するために、治療開始前と開始4週間後の血漿中のSHOX2メチル化状態を検査した。
その結果、メラノーマ患者の60%でSHOX2のメチル化レベルが上昇していたのに対し、対照群は98%で低レベルを示した。
さらに、治療前にレベルが上昇していたが、4週間後に低下した患者は特に良好な反応を示した。
「本研究の結果から、血液中のSHOX2メチル化は、メラノーマ患者における抗PD-1療法に対する反応の有望な予測因子となり得ることが示唆された。したがって、このバイオマーカーを検査することで、抗PD-1療法の有効性を早期に示し、個別化治療の意思決定を支援することができる」とFietz博士は説明する。
さらに、このバイオマーカー検査は、術後補助療法を受けている患者の転移を早期検出するのにも役立った。
この結果は、メラノーマ患者の治療の改善に大きく貢献する可能性がある。
これらの結果をさらに明確にするため、UKBでは現在、さまざまなバイオマーカーを組み合わせた大規模な追跡研究が進行中である。
「これらを組み合わせることで、メラノーマ罹患患者のケアを改善するために、診断の精度と信頼性をさらに高めることを目指す」とFietz博士は説明する。
(2024年5月17日公開)