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13 May 2024
Nature Biomedical Engineering誌に本日掲載された新たな研究で、University of Texas MD Anderson Cancer Centerの研究者らは、体内で自然な免疫反応を誘発するように設計されたペプチドを用いて免疫療法薬を開発する新たな方法を考案した。
局所進行および転移性乳がんの前臨床モデルにおいて、この方法は、単剤療法および免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の両方で、腫瘍制御が改善し、生存期間が延長した。
「アミノ酸は生命の構成要素であり、そのうちのいくつかが結合すると、ペプチドが形成される。われわれの身体が果たすすべての生物学的機能はタンパク質とペプチドによって行われているため、われわれの目標は、これらの小分子を再設計し、免疫系が活性化する独自の能力を持つようにする方法を究明することであった」と、上席著者である脳神経外科教授のBetty Kim医学博士は述べた。
身体の免疫系は、感染細胞や異常細胞をパトロールして特定し、排除するように構築されているが、がん細胞は免疫系の弱点を突き、検出を免れることがよくある。
免疫療法の目的は、がん細胞を特定して破壊する身体の自然な能力を高めることである。
現在の免疫チェックポイント阻害剤は、特異的な免疫シグナル伝達経路をブロックするように設計された抗体である。
この設計されたペプチドは、独自の方法でがん細胞を検出し破壊する免疫系の能力を向上させる。
外部化合物を使って反応を引き起こしたり、細胞治療のために免疫細胞を採取して修飾するのではなく、ペプチドは免疫細胞の特定のシグナル伝達経路を活性化し、その性能を高めるメッセンジャーとして機能する。
「これらの知見は、免疫療法薬の開発にまったく新しい道を拓くものである。
設計されたポリペプチドを用いることで、免疫シグナル伝達経路を強力に活性化し、抗腫瘍反応を高めることができる。
さらに、これらは天然由来の薬剤であるため、毒性プロフィールは合成化合物よりもかなり優れていることが予想される」と、共同責任著者で放射線腫瘍学准教授であるWen Jiang医学博士は述べた。
https://ecancer.org/en/news/24607-study-opens-new-avenue-for-immunotherapy-drug-development
(2024年4月22日公開)