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30 Apr 2024
Korea University Guro Hospital Gynecological Cancer Center のHyun-Woong Cho教授は、「ELIMination rate constant K(KELIM)によって、卵巣がん患者の予後を予測できる可能性がある」と発表した。
この発表は、National Cancer CenterのMyong Cheol Lim教授の研究チームおよびImperial College London(英国)のFotopoulou教授による学術共同研究から生まれた。
患者の予後と治療反応の予測は、婦人科がんの中で最も生存率が低いという特徴がある卵巣がん治療において重要な因子である。
それゆえに、より信頼性の高い予後マーカーに対して根強い需要がある。
このニーズに応えるため、同研究チームは、上皮性卵巣がん患者14,444名を対象とした公表済み研究27件の包括的メタ解析を実施した。
彼らは、KELIMを採用し、統合された無増悪生存率と全生存率を解析した。
解析の結果、KELIM スコアが良好な群に分類された患者は、良好でない群に分類された患者と比較して、再発リスクと生存リスクが共に50%低いことが明らかになった。
さらに、本試験の結果、KELIMは現在多用されているPARP阻害剤および血管新生阻害剤であるベバシズマブに対する治療反応を予測できることが判明した。
KELIMは、数学的モデリングに基づく新たな方法であり、がん治療に対する患者の反応を予測するだけでなく、再発や生存のリスクを評価できる可能性を有する。
この方法は、治療反応と予後の予測において高い精度を有することが示されているため、患者にとって特に有利である。
さらに、KELIM の採用に伴うコストは最小限で済み、がん治療において非常に利用しやすく価値のあるツールとなる可能性がある。
本研究の筆頭著者であるKorea University Guro Hospital Gynecological Cancer Center (Department of Obstetrics and Gynecology)のHyun-Woong Cho教授は以下のようにコメントした。
「この知見は、卵巣がん治療にKELIMを用いることが、治療反応の予測に役立つ可能性があることを示している。
これは、抗がん剤や標的療法の使用を含む治療戦略の策定に重大な影響を与える可能性がある」
本研究の主任研究者であるMyeong Cheol Lim教授は、「将来、実際の卵巣がん患者の治療にKELIMを応用することで、個々の患者のニーズに合わせた個別の治療アプローチが可能となり、精密医療の実現が期待できる」と述べた。
この研究は、International Journal of Gynecologic Cancer誌に掲載され、Science Citation Index Expanded(SCIE)に索引付けされた。
(2024年4月16日公開)