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11 Apr 2024
14th European Breast Cancer Conferenceで発表された臨床試験では、早期乳がん患者に対して複合スキャン法を使用することで治療法が改善され、10例のうち約3例で改善がみられた。
陽電子放射断層撮影法と磁気共鳴画像法(PET-MRI)を組み合わせたスキャンの使用により、医師は患者の腫瘍が広がり始めた兆候を発見し、化学療法や別の種類の手術など有効な代替治療の恩恵を受けることが可能になった。
この研究は、イタリアのミラノにあるIRCCS San Raffaele Universityand Research Hospitalの乳腺外科医であるRosa Di Micco博士によって発表された。
彼女は以下のように述べた。「早期乳がん患者に対する標準的なアプローチには、マンモグラフィ、超音波検査、場合によってはMRIが含まれる。
PET-MRI併用は比較的新しいアプローチであるため、一般的には臨床研究でのみ使用されている」
Oreste Gentilini教授が率いる新研究は、2020年7月~2023年10月の間にSan Raffaele Hospitalで治療を受けていた205名の患者を対象としている。
腫瘍切除のための乳房温存手術を提案される前に、各患者はPET-MRIスキャンを受け、罹患した乳房、その周辺、および体の他の部位へのがんの広がりの兆候を調べた。
205名のうち57名(27.8%)の患者で、PET-MRIスキャンの結果に基づき、予定されていた治療が変更された。
このうち、18名は第一選択治療として化学療法を受け、残りの39名は乳房切除術、余分なリンパ節の切除、両乳房の手術など、異なる外科的アプローチを受けた。
57名のうち12名(21%)は、さらに切除した腫瘍組織が良性であることが判明した。
Di Micco博士は、次のように述べた。「われわれの研究は、早期乳がん患者にとって標準治療にPET-MRIスキャンを追加することで、最善の治療方針をより多くの情報に基づいて決定するのに役立つ可能性があることを示唆した。
ただし、この手法の結果は依然として高い確率で偽陽性の影響を受ける。したがって、さらなる検査によって確認する必要がある」
「これらは進行中の研究の初期に得られた結果だが、PET-MRIスキャンが一部の乳がん患者の治療を改善する可能性があることを示唆している。また、これはさらなる研究が利益をもたらす可能性がある領域であることをこれらの結果は示唆している」と、Gentilini教授は述べた。
Di Micco博士らは、女性ホルモンのエストロゲンに反応して増殖する乳がん細胞の検出に役立つ、わずかに異なるPET-MRIアプローチを用いた新たな研究もまた開始している。
これは、マンモグラフィや超音波スキャンでは確認しにくい小葉乳がんの患者に特に有用である可能性がある。
ベルギーのブリュッセルにあるInstitute Jules BordetのMichail Ignatiadis教授は14th European Breast Cancer Conferenceの議長であり、本研究には関与していない。
彼は以下のように述べた。「これが完了すれば、早期乳がん患者の手術前のPET-MRIを調査するこの種の研究としては最大規模の研究の一つとなるだろう。
われわれは、この研究からさらに多くの結果を期待しているが、これらの所見は、PET-MRIが乳がんが広がり始めた初期の兆候を発見するのに役立つ可能性を示唆している。
このような兆候を見つけることが、長期生存の可能性を最も高めることになる。
われわれは現在、この仮説を前向きに検証するための研究が必要である」
(2024年3月22日公開)