ニュース
05 Apr 2024
RCSIの研究により、現在白血病の治療薬として承認されているベネトクラクスは、別の薬剤との併用により、多発性骨髄腫患者にも効果があることが判明した。この発見は、現在不治の病であるこの病気に対する新たな治療法の選択肢を提供する。
多発性骨髄腫(MM)は血液がんの一種で、アイルランドでは毎年約400名が新たに診断されている。
近年、治療法が進歩しているとはいえ、不治の病であることに変わりはない。
革新的な治療戦略の探求は、とくに標準治療に抵抗性を示すがん患者にとってきわめて重要である。
Hematologica誌に発表されたこの新研究では、RCSI Department of Physiology and Medical PhysicsとBeaumont RCSI Cancer Centre の研究者らが、白血病の治療薬として承認されているベネトクラクスのMM治療効果を高める補完的な薬剤の同定に着手した。
BCL-2と呼ばれるタンパク質の働きを阻害するベネトクラクスは、以前にもMMで試験されたが、ごく一部の患者にしか有効でないことが判明した。
研究者らは、ベネトクラクスと 5-アザシチジンと呼ばれる薬剤の併用により、多くの MM 細胞株でその有効性が大幅に向上することを発見した。これは、新しい併用療法による治療可能な患者集団がより広範であることを示している。
「この研究は、MMのより効果的な治療選択肢を特定する上で重要な一歩である。 ベネトクラクスと5-アザシチジンを組み合わせることで、幅広い患者サンプルで有効性が向上することが確認された。
これは、既存の治療法を新たな文脈で再評価し、その可能性を広げることの利点を示している」と、Department of Physiology and Medical Physics の准教授で研究主任のTríona Ní¬ Chonghaile教授は述べた。
RCSI Department of Pathology 部長兼Beaumont RCSI Cancer Centre臨床科学者であるSiobhán Glavey教授は、次のようにコメントしている: 「この新しい薬剤の併用の可能性を発見したことは有望な進展である。われわれの次の目標は、臨床試験の場でMMに対する有効性と安全性を検証し、患者に対する新しい治療戦略の提供に近づけることである」
また、この2つの薬剤が効率よく作用するメカニズムも調査され、2つの治療法の併用は、化学療法薬による前治療歴のある患者であっても、さまざまな病期のがん患者サンプルで有効であることが示された。
(2024年3月26日公開)