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21 Feb 2024
Michigan State University の科学者らが、最も一般的で現在不治の病とされている脳腫瘍の一つである膠芽腫との闘いにおいて、画期的な発見をした。
彼らが選んだ武器とは? Ogremorphin (OGM) という名前の麻薬のような化合物である。
研究室での実験では、OGM は正常細胞は無傷のままで、神経膠芽腫細胞を死滅させる驚くべき能力を示した。
Experimental Hematology and Oncology誌に掲載されたこの研究を率いたMSU College of Human MedicineのDepartment of MedicineのCharles Hong学科長は、「初期段階だが、治療へのきわめて有望な道筋」であると断言した。
OGMが特別なのは、その精度にある。
研究者らは、がん細胞膜上のGPR68/OGR1と呼ばれる酸センサーを標的とし、がん細胞が生存・増殖するために依存している重要なシグナル伝達経路を破壊した。
「膠芽腫細胞は腫瘍環境を酸性化し、酸感知レセプターを使って生き延びるので、OGM化合物は実質的にその生命線を遮断する」と、Hong氏は説明した。「殺せない脳腫瘍細胞株は一つも見つかっていない」
Hong教授は、University of Maryland School of Medicine およびJohns Hopkins University School of Medicine の研究者だけでなく、College of Human Medicine の同僚であるCharles Williams氏、Leif Neitzel氏とともにこの研究を主導した。
Hong氏は、この画期的な研究は膠芽腫だけに限ったものではないと信じている。
他のがん種も腫瘍環境を酸性化して増殖し、従来の治療法を回避することが知られているので、この発見は他のがん種をターゲットにした治療法にもつながる可能性がある。
脳腫瘍の現実は、脳外科手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた標準治療を行っても、生存期間の中央値は診断後15~18か月で、5年生存率は10%程度である。このような結果は、がんの再発と治療抵抗性によるものである。
「われわれは、酸性腫瘍環境ががん細胞の生存と化学療法の回避をどのように可能にするかについての説明を発見した。また同時に、この生存経路を遮断して正常細胞に触れることなく、がん細胞を選択的に殺す薬剤候補も発見した」と、Hong氏は語った。
「これは最初の一歩に過ぎない」と、Hong氏は付け加えた。「膠芽腫患者に対する治療法の開発には、何年もの研究が必要である。われわれは5年以内にヒトでの臨床試験を行いたいと考えている」
https://ecancer.org/en/news/24172-researchers-find-early-promising-glioblastoma-treatment
(2024年2月6日公開)