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14 Feb 2024
50年ぶりに、第Ⅲ相無作為化プラセボ対照試験の結果、腎臓がん患者における補助療法による全生存期間の延長が示された。
KEYNOTE-564試験結果の解析によると、術後に免疫療法薬であるペムブロリズマブによる治療を行うことで、再発リスクの高い淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者の全生存期間が大幅に延長された。
ペムブロリズマブは、プラセボと比較して死亡リスクを38%減少させた。
「われわれは現在、術後のペムブロリズマブが、再発を遅らせるだけでなく、延命する助けになると患者たちに伝えることができる」と、本研究で治験責任医師のリーダー、Dana-Farber Cancer InstituteのToni Choueiri氏(MD)は述べた。
2024年1月27日、Dana-FarberのLank Center for Genitourinary Oncology の所長Choueiri氏が、 American Society of Clinical Oncology (ASCO)のGenitourinary Cancer Symposiumで述べた。
KEYNOTE-564試験は、無作為化に先立ち、腎摘除術(がん性腎臓摘出)後12週間以内のペムブロリズマブの補助療法を評価するように設計された。
二重盲検第Ⅲ相試験は、世界の何百もの拠点で実施され、登録された患者994名は、ペムブロリズマブを3週間に1回、約1年間投与する群とプラセボ群に無作為に割り付けられた。
ペムブロリズマブは、体の免疫系による攻撃を回避するために利用する分子経路を標的としている。この「チェックポイント」経路を遮断することで、ペムブロリズマブは免疫系のT細胞集団を解放し、腫瘍と闘うのに役立つ。
試験対象に含めるためには、腫瘍に明細胞成分があり、再発リスクが中等度または高度の患者である必要があった。
腎摘出後に転移切除した一部の患者も対象とした。
ccRCC患者の場合、手術は治癒を目的としている。しかしながら、30〜50%の患者が術後に再発を経験する。再発すると転移性疾患を引き起こすことが多く、通常は治癒しない。
研究者らは、術後補助療法の一次無作為化比較試験が行われた1973年以来、この患者グループの再発を減らし、生存期間を延長する方法を見つけようと努力してきた。
「1973年以来、12,000名以上の腎臓がん患者が術後補助療法群と対照群との比較試験に参加したが、KEYNOTE-564試験までは、今までどの研究でも、実験群の延命効果は示されていない」と、Choueiri氏は述べている。
「私たちは、ペムブロリズマブが生存期間を延長することを示した。再発を遅らせるだけではない」
KEYNOTE-564試験の最初の中間解析で、Choueiri氏らは、ペムブロリズマブ補助療法が、再発リスクの高い腎臓がん患者の無増悪生存期間を改善したことを報告した。
ペムブロリズマブは、これらのKEYNOTE-564の結果に基づき、腎臓がん患者向け補助療法として2021年に承認された。
この3回目の中間解析は、追跡調査期間の中央値57.2カ月後に完了した。
試験参加者において、ペムブロリズマブ補助療法は、プラセボと比較して全生存期間を有意に延長した。
ペムブロリズマブによる全生存期間延長効果は、ステージに関係なく、リスク層別化や免疫学的バイオマーカーなどの項目においてサブグループ全体で一貫していた。
患者の約18%は、ペムブロリズマブに関連する副作用により治療を中止した。
ペムブロリズマブによる治療関連死は報告されていない。
研究者らは前もって、ペムブロリズマブの補助療法は、臨床的に意味のある健康関連のQOL低下を引き起こすことはなかったと報告した。
ペムブロリズマブ承認前は、手術による治療後のccRCC患者に対する標準治療は、広く受け入れられていなかった。
ペムブロリズマブの術後補助療法がこの患者群に対する標準治療となっている現在、Choueiri氏らは、ペムブロリズマブとHIF-2阻害剤belzutifanを併用することで病状が改善可能か調査中である。
(2024年1月31日公開)