ニュース
07 Feb 2024
新たな第Ⅲ相試験の結果、転移性または局所進行食道扁平上皮がんのアジアの患者集団において、一次治療でPD-L1阻害剤+TIGIT阻害剤に化学療法を併用すると、生存期間が延長することが判明した。
この治療の組み合わせは、がんと闘う身体能力を高める可能性があり、最終的に外科的に除去できない、または体の他の部分に転移した、食道扁平上皮がん患者にとってより良い転帰につながる可能性がある。
本研究は、1月18~20日までカリフォルニア州サンフランシスコで行われている2024 American Society of Clinical Oncology (ASCO)のGastrointestinal Cancers Symposiumで発表された。
「食道扁平上皮がんは、睡眠障害、体重減少、不安や抑うつ、痛み、嚥下困難などの症状を含め、患者の機能やQOLに重大な影響を与える。
食道がん患者の人口統計を考慮し、本研究はアジア人の集団に焦点を当てることを目的とした」と、筆頭研究著者である、National Taiwan University Hospital (台湾・台北)Chih-Hung Hsu氏(MD,PhD)は述べた。
SKYSCRAPER-08試験は、切除不能な局所進行性、切除不能な再発、または転移性の食道扁平上皮がん患者の一次治療として、T細胞免疫グロブリンおよびITMドメイン(TIGIT)阻害薬tiragolumabとプログラム細胞死タンパク質1(PD-L1)阻害薬アテゾリズマブを化学療法と併用した場合の有効性と安全性を、プラセボ+化学療法の併用を比較評価した。
全体では、中国本土、韓国、タイ、台湾、香港にある67施設で患者461名が登録された。主要評価項目は、独立審査機関が評価した無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)であった。
この無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、229名が免疫療法併用+化学療法併用群に、232名は、プラセボ+化学療法に無作為に割り付けられた。
最低生存期間6.5か月の追跡調査後、独立審査機関が評価したPFSの中央値は、tiragolumab+アテゾリズマブ+化学療法群では6.2か月、プラセボ+化学療法群では5.4か月であった。
最低生存期間14.5か月の追跡調査後、OS中央値は、tiragolumab+アテゾリズマブ+化学療法群で15.7か月、プラセボ+化学療法群では11.1か月であった。
全体で、治療関連の副作用は両治療群とも98.2%で発現した。両群にみられた副作用のほとんどは、化学療法に関連するものであった。
tiragolumab+アテゾリズマブと化学療法群において特筆すべき副作用は、免疫介在性発疹(38.6%)、免疫介在性肝炎(35.1%)、免疫介在性甲状腺機能低下症(17.5%)、輸液関連反応(17.5%)、免疫関連肺炎(7.5%)であった。
特に重要な副作用の多くは、グレード1またはグレード2であり、容易に管理しやすかった。
「食道扁平上皮がんは、世界中の食道がんの症例の大部分を占める。この第Ⅲ相試験は、新規チェックポイント阻害剤であるtiragolumabによる二重免疫療法+化学療法が、安全性を損なうことなく、無増悪及び全生存期間を改善することを証明するものである」と、ASCO ExpertであるPamela Kunz氏(MD)は述べた。
局所進行食道がんに対する、根治的化学放射線療法後の維持療法として、tiragolumabとアテゾリズマブを併用する試験と、tiragolumab+アテゾリズマブと術前化学放射線療法とそれに続く手術と併用を調査する試験が進行中である。
(2024年1月22日公開)