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e-cancer:皮膚T細胞リンパ腫 細菌はがん治療の効果を相殺する

30 Jan 2024

黄色ブドウ球菌(S.aureus)は皮膚T細胞リンパ腫のひとつであるセザリー症候群患者の病状を悪化させる可能性がある。デンマークの研究者らがその根本的な機序を発見した。理解が深まったことで、この種類のがんに対するより効率的な治療法の発見が期待されている。

「セザリー症候群患者に対しては細菌とがん自体の両方に対処した効率的な治療を行う必要がある」と、研究チームの責任者であり、University of Copenhagenの免疫学・微生物学部のNiels Ødum教授は述べている。

この研究結果はAmerican Society of Hematology(ASH)の科学雑誌Blood誌に掲載された。博士課程学生であるChella Krishna Vadivel氏、助教授Terkild B. Buus氏、LEO Foundation Skin Immunology Research CenterのNiels Ødum氏が主な貢献者である。

 

細菌は悪循環の一部である

セザリー症候群は、欧米では人口100万人あたり3人が罹患している。患者の多くは悪循環に陥っている。

がん自体も抗がん剤治療も免疫系を弱める。そのため、黄色ブドウ球菌のような細菌が増殖するのに十分な条件が整う。黄色ブドウ球菌は疾患によって生じた皮膚病変に定着する。この定着部位で毒素を産生し、これがさらにがん治療を難しくする。

「我々の研究では、黄色ブドウ球菌とその毒素を除去することで、がん細胞が抗がん剤の影響を受けやすくなることが分かった。この効果が患者でも同様に良好であることが示されれば、黄色ブドウ球菌の除去によってがんの活動を抑制し、皮膚における新たなコロニー形成を低減することができると考えられる」とChella Krishna Vadivel氏は述べた。

Blood誌に掲載された本論文の焦点は黄色ブドウ球菌がセザリー症候群を悪化させうる機序の解明であるが、研究者らは将来的にがん治療を改善する方法にも関心を持っている。

研究者らによれば、エンドライシンという酵素を用いることで黄色ブドウ球菌と闘うことが可能であるという。この酵素はバクテリオファージに由来するもので、特定の細菌を殺すことができるウイルスである。

この方法で、患者にとって有益な他の細菌は影響を受けずに、黄色ブドウ球菌だけを標的にすることができるという。

 

新たな研究分野の幕開け

エンドライシン治療は特異的で人体への影響が穏やかな治療法である、とTerkild B. Buus氏は説明している。

「黄色ブドウ球菌感染症に対する抗生物質による治療法はすでに存在するが、それにはいくつかの欠点がある。第一に、これらはかなり過酷な治療法であり、望ましくない重篤な副作用を引き起こす可能性がある。第二に、黄色ブドウ球菌は通常、治療を中止するとすぐに再発してしまう。そして第三に、細菌が抗生物質に対する耐性を獲得する危険性がある。したがって、抗生物質による治療は現在、重度の感染症に限られている。一方、エンドライシンは抗生物質以外の選択肢であり、早期に投与することで重篤な感染症を軽減できる可能性が高い」

これは二重の利点である。患者は細菌の増殖による傷で苦しむことはなく、細菌が抗がん剤治療の効果を相殺することもない。Niels Ødum氏によれば、この発見はセザリー症候群の患者にとって有益であるだけでなく、より広い意味合いを持つ可能性があるという。

「細菌が産生する毒素ががん細胞の治療抵抗性を誘発する方法について、我々は新たな知見を得ようとしている。他のがん種に関しても、他の細菌が同様の役割を果たす可能性がある。例えば、結腸がんの研究でも同様のことが示されている。ただしこれは動物実験であるため、ヒトとの関連性を述べるにはさらなる研究が必要である。とはいえ、我々は興味深い新しい研究分野の幕開けを目の当たりにしている」

 

https://ecancer.org/en/news/24070-germs-can-offset-the-effect-of-cancer-therapy

(2024年1月17日公開)

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