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05 Jan 2024
2023年12月5日から9日まで開催されたSan Antonio Breast Cancer Symposiumで発表されたIDEA臨床試験の結果によると、I期のホルモン受容体(HR)陽性乳がんで、一般的な遺伝子検査のスコアが低く、術後補助放射線療法を選択しなかった50~69歳の閉経後患者のほぼ全員が、術後5年後に無病であった。
結果は、同時にJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。
ステージIのHR陽性乳がんと診断された患者は、通常、乳房温存手術後、疾患再発リスクを減らすために補助放射線療法と内分泌療法を受けると、Emory University School of MedicineのLawrence W. Davis professor兼放射線腫瘍学主任で、Winship Cancer Institute of Emory Universityの研究者であるReshma Jagsi医学博士(MD, DPhil)は説明した。
同氏は、最近の研究では、術後補助放射線療法を選択しなかった65歳以上の患者の再発リスクは低いと付け加え、高齢患者は乳房温存手術後の放射線療法を安全に省略できる可能性があることを示唆していると付け加えた。 しかし、若い患者が補助放射線療法を安全にオプトアウトできるかどうかは依然として不明であった。
「放射線治療技術は劇的に向上し、以前よりはるかに効率的で忍容性が高くなったが、患者は治療法を選択できることに感謝している」と、Jagsi氏は指摘する。
Jagsi氏らは、早期乳がんの閉経後若年患者において放射線治療の省略が可能かどうかを検討するため、50~69歳のI期HR陽性HER2陰性乳がん患者を登録したIDEA臨床試験を実施した。
腫瘍の遺伝子プロファイルに基づいて各患者の再発リスクを判定するためにOncotype DX再発スコアが用いられた。再発リスクが低い患者は、乳房温存手術後に放射線療法を省略でき、標準治療の術後補助内分泌療法を少なくとも5年間受けることができた。
本試験の登録患者のうち、放射線治療を省略できたのは200名であった(50~59歳60名、60~69歳140名)。186名の評価可能な患者のうち、100%が術後5年生存しており、99%(184)はこの時点で乳がんではなかった。
「これらの知見は、乳房温存手術後に放射線治療を省略した閉経後の若年I期乳がん患者の5年以内の再発リスクが非常に低いことを示している」と、Jagsi氏は述べた。「しかし、この集団にとって5年は早い時点であり、この年齢層の女性にこの選択肢を安全に提供できるかどうかを判断するには、この研究やその他の研究の長期追跡調査が不可欠である」
「このような研究は、がんの診断によって奪われそうな患者のコントロール感覚を取り戻すための複数の治療選択肢を特定することと、すべての患者に適切な情報を提供し、自分にとって正しい決定を下す権限を与えることの両方により、患者体験を改善する方法を特定する上で重要である」と、Jagsi氏は述べた。
この研究の限界は、追跡期間が短いこととサンプル数が少ないことである。
(2023年12月14日公開)