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14 Dec 2023
Acta Pharmaceutica Sinica B誌に掲載された新しい論文は、血液脳関門を効率的に通過し、神経膠腫に対して強力な抗腫瘍活性を示す新規化合物SYHA1813の前臨床試験および初期臨床試験について論じている。
神経膠腫(GBM)は成人の悪性脳腫瘍の中で最も一般的で侵襲性が高い疾患であり、コントロール不良である。先行研究ではマクロファージと血管新生の両方がGBMの進行に重要な役割を果たしていることが示されており、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)と血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)の両方を標的とした薬剤が有効な治療戦略となる可能性が高い。
本研究ではCSF1RとVEGFRを選択的に阻害し、GBMに対する強力な抗腫瘍活性を有する新規薬剤であるSYHA1813が開発された。SYHA1813は、高い有効性と選択性でVEGFRおよびCSF1Rキナーゼ活性を阻害し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびマクロファージの細胞生存率を阻害し、in vitroおよびin vivoの両方で抗血管新生作用を示した。また、SYHA1813は正常な免疫応答のあるマウスおよび免疫不全マウスモデルにおいて、テモゾロミド非感受性腫瘍を含むGBMに対する強力なin vivo抗腫瘍活性を示した。
特に、SYHA1813は血液脳関門を通過し、頭蓋内にGBM異種移植を行ったマウスの生存期間を延長させた。さらに、SYHA1813の投与は抗PD-1抗体との併用で相乗的な抗腫瘍効果をもたらした。また、Proof of Concept(POC)として現在進行中の再発性GBM患者を対象とした最初のヒト投与(first-in-human)第I相試験において、SYHA1813の奏効が確認された。
(2023年12月1日公開)