ニュース
09 Nov 2023
パーキンソン病治療薬であるメチキセンが、転移性乳がんおよび転移性脳腫瘍に対する新規治療薬として顕著な可能性を示し、この壊滅的な疾患に直面している患者に希望を与えることが、新たな研究で明らかになった。この研究は、Northwestern UniversityのJawad Fares博士率いる研究チームによって行われ、Journal of Clinical Investigation誌に掲載された。
転移性脳腫瘍、特に乳がんに伴う転移性脳腫瘍は、限られた治療選択肢と不良な臨床転帰のため、腫瘍学領域における重要な課題となっている。しかし、今回の研究により、メチキセンがこの手強い疾患との闘いにおいて、ゲームチェンジャーとなりうることが明らかになった。
包括的な調査において、研究チームは、血液脳関門透過性があり、米国食品医薬品局（FDA）で承認されている320種類の中枢神経系低分子阻害剤のライブラリーをスクリーニングした。メチキセンは、さまざまな転移性乳がんのサブタイプにおいて、がん細胞の生存率を低下させ、がん細胞死を誘導する能力を示し、傑出した候補として浮上した。
主な研究結果は以下の通りである：
• 効果的な腫瘍縮小：メチキセンは同所性異種移植アッセイにおいて乳腺腫瘍サイズを有意に縮小し、治療薬としての可能性を強調した。
• 生存率の向上：多臓器転移の心臓内モデルにおいて、メチキセンは生存率を改善し、広範囲に転移を有する患者に希望を与えた。
• 脳転移における生存期間の延長：メチキセンは頭蓋内異種移植マウスや多発性脳転移の頸動脈内モデルでも有効性を示し、これらの困難なシナリオにおける生存率を有意に延長した。
これらの有望な結果は、転移性脳腫瘍の治療に新たな可能性を拓くものである。
さらに、メチキセンはヒトでの副作用が最小限であることが報告されていることから、臨床応用の有力な候補であり、世界中の患者に希望の光をもたらすものである。
「本研究は、転移性がんおよび転移性脳腫瘍の治療薬としてのメチキセンの潜在的な臨床的意義を強調するものである。肺がんとメラノーマに加えて、乳がんのすべてのサブタイプに対する効果を示した。本剤は、ヒトで報告された副作用が最小限であったことから、臨床応用、すなわちヒト臨床試験でのさらなる調査や使用の可能性を検討する有力な候補となっている」とFares氏は述べた。
（2023年10月30日公開）
