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31 Oct 2023
糖尿病合併症は、視力障害や神経損傷から腎機能障害や心臓病まで、健康に多くの悪影響を及ぼす可能性がある。
成人の大腸がん患者の情報を分析したところ、糖尿病併発患者、特に糖尿病合併症のある患者は早期死亡リスクが高かった。
この結果は、American Cancer SocietyのCANCER誌オンライン版(Wiley社刊)で発表された。
この研究では、National Taiwan UniversityのKuo-Liong Chien医学博士らが、健康保険や死亡記録とリンクしているTaiwan Cancer Registry Databaseに2007~2015年の間に登録されたデータを調査した。
解析対象は、治癒の可能性のある腫瘍摘出手術を受けたI-III期の大腸がん患者59,202名であった。
これらの患者のうち、9,448名ががんの再発を経験し、21,031名が研究期間中に何らかの原因で死亡した。
非糖尿病患者と比較すると、合併症のない糖尿病患者は、全死因死亡およびがん特異的死亡リスクがほとんどないか、あるいは有意に高かったが、合併症のある糖尿病患者は、全死因死亡のオッズが85%高く、がんによる死亡のオッズは41%高かった。
これらの関連は、女性および早期大腸がん患者においてより顕著であった。
また、非糖尿病患者と比較して、合併症のない糖尿病患者や合併症のある糖尿病患者は大腸がんの再発リスクが10〜11%高かった。
糖尿病の重症度と大腸がんの予後不良との関係の背後には、2型糖尿病に特徴的な血中の高インスリン・高グルコースレベルや炎症状態の上昇によって引き起こされるさまざまな経路や反応が関与している可能性がある。
「大腸がん患者では糖尿病有病率が高いことが指摘されているが、この研究は、複数の専門家が関与する連携医療が糖尿病合併症の予防に役立ち、とくに女性や早期がん患者における長期的な大腸がんの腫瘍学的転帰を改善する可能性があることを示唆している」 」と、Chien博士は述べた。
(2023年10月26日公開)