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27 Oct 2023
新たな研究によると、検診対象となる肺がん患者を特定するための代替モデルは、United States Preventive Services Task Force(USPSTF)の基準に基づく現在使用されている方法よりも正確であった。
この結果は、American Cancer SocietyのCANCER誌( Wiley社刊)に発表された。
肺がんはがんによる死亡原因の第一位であり、肺がんリスクが高い人のスクリーニングに低線量コンピューター断層撮影を使用することで、肺がんによる死亡を減少できる。
USPSTFの基準では、肺がん検診の対象者を年齢と喫煙歴で判断している。現在喫煙しているか、以前は喫煙していたが、15年前に禁煙した50~80歳の人で、喫煙歴が20箱年(1日1箱を20年、1日2箱を10年など)の人が対象となる。
より個別化されたモデルは、Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trialに基づいた PLCOm2012肺がんリスク予測モデルがある。
このモデルは、個人の肺がんリスクを予測するために、がんの既往歴、肺がんの家族歴、慢性閉塞性肺疾患の既往歴、教育レベル、肥満度、人種などの付加パラメータを使用する(人種を含まない修正版はPLCOm2012noRaceと呼ばれる)。
Brock UniversityのMartin Carl Tammemägi博士らは、USPSTFとPLCOm2012およびPLCOm2012noRaceの方法を比較するため、サウスダコタ州の肺がん患者1,565名にこれらの方法を適用した。
PLCOm2012モデルは、USPSTF2013およびUSPSTF2021基準よりも感度が高く、スクリーニング対象となる肺がん患者をより多く同定した。
USPSTF基準でもPLCOm2012noRaceモデルでも、先住民であると自己申告した人とそうでない人の間に適格性の格差は見られなかった。
この研究はまた、50歳未満で肺がんと診断された人はほとんどいないため、50歳未満の人々のスクリーニングは正当化されないことも示した。
「より個別化された肺がんの危険因子を考慮したリスク予測モデルを使用してスクリーニングの適格性を決定することは、USPSTFの年齢と喫煙歴の基準と比較して、スクリーニング対象者の選択においてより適切に機能することが、この研究を含むいくつかの研究で示されている」と、Tammemägi博士は述べた。
「この研究は、他の十分なサービスを受けられていない集団を対象とした同様の研究と併せて、リスク予測モデルを使用した、より個別化されたスクリーニング適格基準の使用を政策立案者に含めるよう奨励するために使用されるべきである。
人種は社会的構成要素であるが、この構成要素のリスク要因が特定され、リスク予測モデルに組み込まれるまでは、過度のリスクにさらされていることが判明した、十分なサービスを受けていない「人種」の集団が多数存在する管轄区域(多くの先住民族を含む)は、予測変数として人種を組み込んだリスク予測モデルの使用を検討すべきである」
(2023年10月10日公開)