トップ > ニュース

ニュース

e-cancer:がん全般 新たな研究で女性のがん患者は化学物質への曝露が著しいことが示される

29 Sep 2023

特定の内分泌かく乱化学物質への曝露が乳がん、卵巣がん、皮膚がん、子宮がんに関与している可能性が示唆された。新たな研究により、これらのがんを発症した患者の体内では化学物質の濃度が有意に高いことが発見された。

本知見はPFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物:有機フッ素化合物の総称)やフェノール類(ビスフェノールA:BPAを含む)などの化学物質への曝露ががんの発症につながったことを証明するものではないが、何らかの影響を与えている可能性があるため、さらなる研究の必要性を強く示唆している。

特に女性の場合、長鎖PFAS化合物であるPFDEへの曝露量が多いほど、メラノーマの診断歴を有する確率が2倍になることが示された。また、他の2種類の長鎖PFAS化合物であるPFNAとPFUAへの曝露量が多い女性でもメラノーマの診断歴がある確率がほぼ2倍であった。

この研究では、PFNAと子宮体がんの診断歴との関連性が示された。また、BPA(プラスチックに使用される)や2,5-ジクロロフェノール(染料に使用され、廃水処理の副産物として発見される化学物質)などのフェノール類への曝露が多い女性ほど、卵巣がんの診断歴を有する確率が高かった。

この研究は、UC San Francisco(UCSF)、University of Southern California(USC)、University of Michiganの研究者によって行われた。いずれもNational Institutes of Environmental Health Sciences Core Centersの一員であった。

研究チームは、NHANES(National Health and Nutrition Examination Survey)に参加した1万人以上の血液と尿のデータを用いて、フェノール類とPFASへの現在の曝露とがん診断歴を調査し、これらの関連について人種/民族的な差を調査した。

この研究はJournal of Exposure Science and Environmental Epidemiology誌に掲載された。

「これらの知見は、PFASとフェノールを女性のがんリスクに関する環境リスク因子全体として考慮する必要性を強調するものである」と本研究の上席著者であるMax Aung, PhDは述べた。同氏はUCSF Program on Reproductive Health and the Environment在籍中に研究を行い、現在はUSC Keck School of Medicineの環境衛生学准教授を務めている。

PFASは環境に偏在している
PFASはテフロン加工のフライパン、防水加工された衣類、防汚加工されたカーペットや布地、食品包装などの製品に含まれており、水や食品、人間を汚染している。PFASは分解されにくく、環境中で何十年も存続するため、しばしば「永遠の化学物質」と呼ばれる。PFASはまた、数ヶ月から数年間にわたって人体に残留する。

「これらのPFAS化学物質は、女性のホルモン機能をかく乱すると考えられる。これは、女性のホルモン関連がんリスクの上昇と関連があるとされるメカニズムの一つである」と本研究の筆頭著者であり、University of Michigan, School of Public Healthのresearch faculty scientistであるAmber Cathey, PhDは述べた。

この研究では人種差も確認された。PFASと卵巣がんおよび子宮がんとの関連は、白人女性にのみ認められた。一方、PFASの一つであるMPAHとフェノール類の1種であるビスフェノールFと乳がんとの関連は非白人女性にのみ見られた。

EPAはPFASを化学物質の一種として規制すべき
この研究を支援したUCSFの教授で、Program on Reproductive Health and the Environmentの責任者であり、UCSF EaRTH Centerの責任者でもあるTracey J. Woodruff, PhD, MPHは次のように述べた。「全米の地域社会がPFAS汚染と闘っている中、本知見は政策立案者がPFAS曝露削減のための活動を広げることを支持するさらなる根拠になる。PFASは何千もの化学物質から構成されているため、曝露を減らす一つの方法は、EPA(米国環境保護庁)がPFASをひとつひとつ規制するのではなく、化学物質群として規制することである」

この研究は、UCSF EaRTH CenterとUCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer Centerから資金提供を受けた。

https://ecancer.org/en/news/23732-study-finds-significant-chemical-exposures-in-women-with-cancer

(2023年9月23日公開)

CROI2024 速報
HIV感染症治療教育プログラム
EACS2023 速報
IAS2023 速報
Practice Updates~HIV感染症治療戦略~
HIVクイズ
ecancer
国際学会カレンダー