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e-cancer:膵臓がん RNA修飾が膵臓がんを促進するメカニズムに新たな知見

17 Aug 2023

m6AなどのRNA分子の化学修飾は、遺伝子発現に重大な影響を及ぼし、がんの発生と進行のさまざまな側面に影響を与える可能性がある。しかし、メッセンジャーRNA(mRNA)のm6A修飾に関する研究は広範に行われているが、特に膵管腺がん(PDAC)における長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)への影響に関する研究は比較的限られている。

Genes & Diseases誌に掲載された革新的な研究において、浙江大学医学部小児病院、杭州医科大学人民病院、ミシシッピ大学医療センターの研究チームは、メチル化RNA免疫沈降法(MeRIP)を用いて、PDAC細胞の増殖、生存、および浸潤を促進し、それにより腫瘍の増殖につながるm6 A lncRNAであるLINC00901の役割を明らかにした。

興味深いことに、この研究はm6Aリーダータンパク質YTHDF1がLINC00901の発現を負に制御していることを示唆している。研究チームは、LINC00901のYTHDF1との相互作用に不可欠な2つのm6A部位を同定した。これらの部位に変異が生じると相互作用が低下することから、LINC00901のがん化におけるm6A修飾の重要性が強調された。

本研究はさらに、m6A依存的にPDACの進行を促進する重要なLINC00901-IGF2BP2-MYC軸を明らかにし、それによって新たな治療標的の可能性を明らかにした。研究者らは、m6A機構が有望な治療手段であることを示唆しており、チェックポイント阻害剤とYTHDF1欠損を組み合わせることで、患者の治療反応を改善できる可能性を示唆している。さらに、m6A修飾が自然免疫細胞と適応免疫細胞の両方の制御に関与していることから、この経路を標的とした免疫療法を開発できる可能性も出てきた。

本研究は、m6AによるRNA修飾が遺伝子発現にどのように影響し、がんの発生にどのように寄与するのかを理解する上で、重要な進歩をもたらす。これらの研究結果は、PDACにおけるlncRNAのm6A修飾の役割について新たな知見を提供し、疾患の進行に関する理解を深めるとともに、治療のための新たな道の可能性を拓くものである。このRNA修飾を研究することにより、がん標的治療の可能性を広げる。

https://ecancer.org/en/news/23479-new-insights-into-how-rna-modification-promotes-pancreatic-cancer

(2023年8月7日公開)

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