ニュース
28 Jul 2023
2023年5月26日、Oncotarget誌Volume 14に、”Combined targeting of HEDGEHOG signalling and BRD4 as a novel therapeutic option against melanoma “と題した新しい論説論文が掲載された。
ヘッジホッグ-GLI(HH/GLI)経路は、数種類のがんで異常な活性化がみられる。
典型的HH/GLI経路は、HHリガンドが12回膜貫通型受容体Patched 1(PTCH1)に結合することにより引き起こされ、PTCH1は7回膜貫通型Gタンパク質共役型受容体Smoothened(SMO)上で阻害が解除され、GLI転写因子の活性化につながる。
HH/GLI経路に必須のトランスデューサーであるSMOを標的とする低分子阻害剤(例:vismodegib、sonidegib)は、基底細胞がん(BCC)や髄芽腫(MB)などのHH依存性腫瘍において治療効果を示している。
しかしながら、これらのSMOアンタゴニストの治療効果は、薬剤中止後の獲得抵抗性の発現と再発、およびGLI転写因子の非典型的な活性化を引き起こす付加的な発がん性シグナルによる制限を受けている。
この新たな論説の中で、University of VeronaおよびInstitute for Cancer Research and Prevention(CRL-ISPRO)の研究者であるSilvia Pietrobono氏とBarbara Stecca氏は、非典型的HH/GLIシグナルを標的とすることで、SMO阻害による治療効果の奏効率と持続性が改善されるという考えに賛同すると述べている。
したがって、SMOの下流で機能する新規の標的調節因子、特に転写レベルで作用する調節因子を同定することは、HH経路を効果的に阻害し、腫瘍の再発を予防するために極めて重要だと提唱している。
「Pietrobono氏らによって示された知見は、メラノーマのようにHH/GLIシグナルが典型的、非典型的に活性化される腫瘍において、新たな治療戦略の開発への道を拓くものである」
(2023年7月20日公開)