ニュース
12 Jun 2023
BRCA遺伝子変異がなく、新たに進行卵巣がんと診断され、標準治療に加えてデュルバルマブ(イムフィンジ)とオラパリブ(リンパーザ)投与を受けた患者は、標準治療のみを受けた患者と比較して無増悪生存期間が改善したことが、国際第III相ランダム化臨床試験DUO-Oの中間解析により示された。
本研究は、ASCO2023で発表される予定である。
本試験では、BRCA遺伝子変異を有さない新規診断の進行高悪性度上皮性卵巣がん患者において、標準治療(パクリタキセル/カルボプラチンとベバシズマブの先行投与、ベバシズマブ維持投与)+デュラルマブ先行投与群は、デュラルマブ+オラパリブ維持投与群に比べPFSが改善した。
デュルバルマブ+オラパリブ群のHRD陽性腫瘍患者のうち、病勢進行のリスクは、標準治療を受けた患者に比べて51%減少した。
また、デュルバルマブ+オラパリブ投与のintent-to-treatグループでは、標準治療を受けた患者に比べて、病勢進行のリスクが37%減少した。
デュルバルマブ+オラパリブ群では、標準治療群に比べ、HRD陽性・陰性患者を含むすべてのサブセットで病勢進行のリスクが32%低下した。
「進行卵巣がん患者には大きな進展があったが、未だアンメットニーズが残っている。今回の試験結果は、進行した病気の患者に新しい治療法を見出すことができるという心強い証拠となる」と、ドイツ・エッセンのEvangelische Kliniken Essen-Mitte病院の婦人科および婦人科腫瘍科のディレクターであるPhilipp Harter氏(PhD)は述べている。
2023年に米国で新たに卵巣がんと診断される症例は推定19,710名、同疾患による死亡は推定13,270名である。
卵巣がんが早期に発見されるのは全体の2割程度である。
ステージIII以上で病気が発見された場合、生存率は30%と低くなることもある。
卵巣がんと診断された患者の約半数は63歳以上であり、黒人よりも白人に多くみられる1。
現在の標準治療は、化学療法(パクリタキセル/カルボプラチン)と血管新生阻害剤であるベバシズマブである。デュルバルマブはチェックポイント阻害剤、オラパリブはPARP阻害剤で、特定の細胞修復機構を阻害する。
最近の2つの研究では、オラパリブ維持療法がBRCA遺伝子変異を有する新規診断患者に有効であり、ベバシズマブがHRD陽性腫瘍の患者に有効であることが示されている。
HRD陽性の腫瘍を持つ患者では、がん細胞が自己修復しにくくなるため、PARP阻害剤などの特定の治療が有効である可能性が高くなる。
そこで研究者らは、ベバシズマブとデュルバルマブの新規併用療法に加え、維持療法レジメンにオラパリブを追加し、抗腫瘍効果を高めることができないか検討した。
研究者らは、その後の解析で全生存期間とその他の副次的評価項目を正式に評価する予定である。
References
1. “Ovarian, Fallopian Tube, and Peritoneal Cancer: Statistics”
(2023年6月3日公開)