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e-cancer:がん全般 放射線治療のリアルタイム追跡によって、より安全で効果的ながん治療が可能に

17 Jan 2023

がん患者の半数を治療するために使用される放射線は、University of Michiganで開発された精密な3次元画像化により、初めて治療中の放射線を測定することができるようになった。

X線が体内の組織を熱したときに発生する小さな音波を捉えて増幅することで、体内の放射線量をマッピングし、リアルタイムで治療の指針となる新たなデータを得ることができる。

これまで医師が “見る”ことができなかった相互作用を初めて見ることができる。

「一度、放射線を照射し始めると、体はかなりブラックボックス化する」と、Jonathan Rubin Collegiate Professor of Biomedical Engineeringの放射線科教授で、Nature Biotechnology誌掲載の研究の筆頭著者であるXueding Wang氏は述べている。

また、Wang氏はUniversity of MichiganのOptical Imaging Laboratoryを率いている。

「X線が体内のどこに当たっているか正確にはわからないし、ターゲットに照射する放射線量もわからない。また、体はそれぞれ違うので、その両方の予測をするのは難しい」

放射線は、毎年何十万人ものがん患者の治療に使用され、高エネルギー波と粒子(通常はX線)を体の領域に照射する。

放射線は、がん細胞を完全に殺したり、がん細胞が広がらないように損傷を与えたりすることができる。

しかし、放射線治療では腫瘍周辺の健康な細胞まで殺してしまうため、精度の低さがこの効果を弱めることになる。

また、新たながんの発症リスクを高める可能性もある。

リアルタイム3D画像により、医師は放射線をより正確にがん細胞に向け、隣接する組織の被ばくを抑えることができる。そのためには、単に 「聞く」ことが必要である。

X線が体内の組織に吸収されると、熱エネルギーに変化する。

その加熱によって組織が急速に膨張し、その膨張によって音波が発生する。

音響波は弱く、一般的な超音波診断技術では通常検出できない。

University of Michiganの新しい電離放射線音響画像システムは、患者側に配置された超音波変換器の配列で音響波を検出する。

その信号を増幅し、超音波診断装置に転送し、画像再構成を行う。

この画像を手にすれば、腫瘍クリニックはより安全で効果的な治療を行うために、治療中に放射線レベルや軌道を変更できる。

「将来的には、放射線治療中の位置、臓器の動き、解剖学的変化から生じる不確実性を画像情報で補正できるようになるだろう」と、生体医工学研究員で、この研究の筆頭著者であるWei Zhang氏は述べている。

「そうすれば、ピンポイントでがん腫瘍に線量を届けることができる」
University of Michiganの技術のもう一つの利点は、臨床医が慣れているプロセスを大幅に変えることなく、現在の放射線治療機器に簡単に追加できることである。

University of Michigan医学部放射線腫瘍学准教授Kyle Cuneo氏は、「将来的には、この技術を利用して、正常な組織を安全な線量に保ち、腫瘍に意図した線量を照射できるように、それぞれの放射線治療を個別化し、適応させることができる」と述べている。「この技術は、ターゲットが小腸や胃などの放射線に敏感な臓器に隣接している場合に特に有効である」

研究チームは、Wang氏、Cuneo氏、University of Michigan Medical Schoolの放射線腫瘍学非常勤教授であるIssam El Naqa氏を含むUniversity of Michiganが中心となっている。チームはMoffitt Cancer Centerとも協力している。

ミシガン大学は特許権保護を申請しており、この技術を市場に出すためのパートナーを探している。本研究は、米国National Cancer InstituteおよびMichigan Institute for Clinical and Health Researchの支援を受けて行われた。

https://ecancer.org/en/news/22528-tracking-radiation-treatment-in-real-time-promises-safer-more-effective-cancer-therapy

(2023年1月4日公開)

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