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20 Dec 2022
画期的な Trial Assigning Individualized Options for Treatment (Rx) (TAILORx) の長期臨床結果は、早期乳がんのほとんどの女性が化学療法を安全に見送ることができることを引き続き示している。また、この解析は、臨床医に個別の治療法を提案するための新しいデータを提供する。
TAILORxでは、乳がんの再発に関連する21の遺伝子の発現を評価する分子検査(0〜100点満点)を実施した。
12年間の追跡調査(中央値10年以上)の結果、試験集団全体(平均年齢56歳、うち69%が50歳以上)では、化学療法による有益性は引き続き認められなかった。当初の解析と同様に、試験集団の7%を占めた、スコアが21-25または16-25で臨床的リスクの高い若い女性(50歳未満)のサブグループでは、12年後まで持続する化学療法の有益性が得られた。
より長い追跡調査によって、遅発性再発に関する予期せぬ情報が明らかになった:
スコア25までの女性では、再発率は平均して年間1%未満と非常に低いものの、5年以上先の遅発性再発がそれ以前よりも多かった。
内分泌療法単独で治療した場合、スコア25までの女性では遠隔再発率は低く、全生存率は高いままだったが、遠隔再発率と浸潤無病生存率との間に乖離が大きくなった。この所見は、二次原発がんの新たな発生がこの集団に影響を及ぼしていることを示している。
化学療法と内分泌療法の併用にもかかわらず、スコア26-100の症例では遠隔再発率が高い状態であった。
また、黒人女性では早期再発リスクも高かった:
黒人女性の人種格差は、診断後5年以内の早期再発と関連していたが、遅発性再発とは関連していなかった。この格差は、健康の社会的決定要因における不公平や、抗ホルモン内分泌療法を早期に中止することでは説明できなかった。この知見は、生物学的要因が内分泌療法に対する身体の抵抗性発現に寄与している可能性を示唆する、増えつつあるエビデンスに追加される。
(2022年12月9日公開)