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09 Dec 2022
非浸潤性乳管がん（DCIS）の分子アトラスを作成する研究チームは、乳房内の前がん病変が浸潤がんに進展するのか、それとも安定した状態を維持するのかを区別する方法に関して大きな成果を上げた。
研究チームは、DCISによって乳房の部分切除術を受けた患者の手術標本を分析し、がんの進行に関連する812個の遺伝子を特定した。この遺伝子分類法を用いて、がん細胞の再発リスクと進行リスクの予測を可能にした。
2022年11月にCancer Cell誌に掲載された本研究はDuke Cancer InstituteのE. Shelley Hwang医学博士と、Stanford University Medical CenterのRob West医学博士によって主導された。本研究は米国国立がん研究所が研究開発プログラムに資金を提供するMoonshot InitiativeのHuman Tumour Atlas Networkの一環として行われた。
「DCISががんなのか、それとも高リスク状態なのかは長年議論されてきた」とHwang氏は述べた。しかし、それを判断する方法がないために、現時点ではすべての患者に対して手術か放射線治療、またはその両方を用いた治療を行っている。
「年間5万人以上の女性がDCISの診断を受け、そのうち約3分の1が乳房切除術を受けているため、多くの女性に対して過剰治療を行っているのではないかという懸念が高まっている」とHwang氏は述べた。「我々はDCISの生物学をもっと理解する必要があり、それがこの研究の目的である」とHwang氏は述べた。
Hwang氏とWest氏らは治療後中央値7.4年の患者542人から手術時に採取された774のDCIS標本を分析した。その結果、5年以内の再発に関連する812の遺伝子を同定した。
この遺伝子分類法は、がんの再発と浸潤性進行の両方を予測することができ、進行は浸潤性DCIS細胞と特徴的な腫瘍環境との相互作用を必要とするプロセスに依存していると考えられた。
Hwang氏によると、この研究で分析されたDCISのほとんどは、がんへの進行リスクあるいは再発リスクが低いことが確認された。このことは、診療の際に使用できる正確な予後予測モデルが必要であることを強調している。
「DCISに関する理解は大きく前進した。今回の研究によって、がんの進行リスクに応じて治療法を調整することで個別化医療を実現するための真の道筋が見えてきた」とHwang氏は述べた。「真の目標は、治療転帰を損なうことなく治療に関連する有害性を減少させることであり、DCIS患者のために、この目標の達成に近づいていることに興奮している。」
本研究にはHwang氏とWest氏のほかに、アリゾナ州立大学生命科学部のCarlo Maley博士、ワシントン大学セントルイス校Breast Pre-Cancer Atlas CenterのGraham Colditz博士が共同研究責任者を務め、さらにTranslational Breast Cancer Consortiumのメンバーとして他の12の研究機関の協力者が参加している。
本研究は、米国国立衛生研究所（R01 CA185138-01, U2C CA-17-035, UO1 CA214183, R01CA193694）に属するNational Cancer InstituteのHuman Tumour Atlas Network Consortiumの一環として行われた。その他に、国防総省（BC132057）、The Breast Cancer Research Foundation（19-074, 19-028, 18-006）、PRECISION CRUK Grand Challenge（AEI RYC2019- 026576-I）、”la Caixa” Foundation（LCF/PR/PR17/51120011）、Lundbeck Foundation（R288-2018-35）、Danish Cancer Society（R229-A13616）、Susan G. Komenから資金援助を受けた。
（2022年11月21日公開）
