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e-cancer:がん全般 酵素を標的とした治療によってがん患者の筋力低下を緩和できる可能性がある

01 Nov 2022

UTHealth Houston(テキサス大学ヒューストン医療科学センター)の研究によると、筋肉内の特定の酵素を標的とした治療によって、がん患者の筋肉量を維持し、生存期間を延長できる可能性があることが明らかになった。

UTHealth HoustonのMcGovern Medical School統合生物学・薬理学部門の教授であるYi-Ping Li, PhDが率いる研究で、UBR2と呼ばれる酵素ががんに伴う筋肉の消耗、つまり、がん悪液質に重要な役割を果たすことが見出された。

この研究結果は10月17日にPNAS誌に掲載された。

「この知見は、がんが筋肉量や機能低下を引き起こすメカニズムを理解する上で重要なギャップを埋めるものである」と本研究の上席著者であり、University of Texas MD Anderson Cancer Center UTHealth Houston Graduate School生物医学研究科の教員であるLi氏は述べた。

がん悪液質は全がん患者の約60%が、がん末期に発症する合併症である。悪液質患者は主に筋肉量の減少により体重が減少して衰弱し、呼吸不全や心不全を引き起こす。がん患者の約30%が悪液質で死亡しており、がん生存率を大きく左右する要因である。

歴史的に見ると、がん性悪液質の原因に対する理解が不十分であったため、がん悪液質に対する治療法はなかった。そこでLi氏の研究室では20年にわたって、がんが悪液質を引き起こす分子メカニズムを解明することを主眼とした研究を進めてきた。

研究チームはマウス研究で得られた一連の発見を基にして、最近UBR2という酵素の役割を特定した。この酵素は筋肉内にある重要な酵素であり、筋肉の収縮を維持するのに重要な構成要素であるミオシン重鎖のサブタイプを探し出し、がんに反応して破壊する。

がんは筋肉中のUBR2を増加させるが、UBR2の増加を阻害もしくは除去したマウスはがんによって引き起こされる筋肉量減少や機能低下から免れることができた。

研究チームはがん患者の筋肉を調査し、UBR2の増加の証拠をつかんだ。UBR2の増加は、悪液質で主に失われる特定のサブタイプのミオシン重鎖の消失と関連していた。

この発見は今後のがん悪液質治療にとって重要である、とLi氏は述べた。
「動物実験によって、いくつかの既存薬を利用するとUBR2の増加を阻害でき、がん宿主における筋肉の消耗を改善できることが分かった。この知見を基に、がん悪液質治療のための臨床試験を行う予定である」

https://ecancer.org/en/news/22271-targeting-enzyme-could-alleviate-muscle-wasting-for-cancer-patients

(2022年10月17日公開)

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