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e-cancer:腎臓がん 腎臓がんの予後を予測する遺伝子特性を発見

28 Oct 2022

腎臓がん患者のうち、がん細胞内の4つの特異遺伝子の活性は、腫瘍の拡大リスクと患者の生存の可能性を予測できる可能性がある。

これは、スウェーデンのKarolinska Institutetの研究者らが、Nature Communications誌に発表した前臨床試験で明らかになった。

「これは、病気の経過を早期に把握するためのツールになる可能性がある。そして、転移の可能性が高いがんプロファイルを持つ患者をより注意深くモニターし、腫瘍の成長を迅速に発見し、治療することができる」と、Karolinska Institutetの女性・子ども健康部の上席研究者であり、この研究の著者であるNinib Baryawno氏は述べる。

淡明細胞腎臓がんは成人の腎臓がんの中で最も一般的ながんである。

腫瘍が腎臓にとどまっていれば、予後は良好なことが多いが、患者の約3分の1に見られる骨格への転移の場合、5年生存率は約10%にとどまる。

近年、チェックポイント阻害剤と呼ばれる免疫療法は、淡明細胞腎臓がんの患者にとって重要な治療法となっている。

しかし、がん細胞が治療に対して抵抗性を示すことはよくあることで、その一因は、がん細胞の周囲の環境、いわゆる腫瘍微小環境にあると考えられる。

今回の研究では、淡明細胞腎臓がんの患者9名の検体を調べた。

この研究は、Karolinska Institutetの研究者、患者を募集した米国ボストンのMassachusetts General Hospitalの臨床医、Harvard Medical Schoolのコンピューター科学者との共同研究である。

腫瘍組織とその近傍の正常な腎臓組織の両方を同じ患者から採取し、対応した比較を行い、個人間のばらつきを制御できるようにした。

この細胞は、単一細胞解析という、組織内の1つ1つの細胞や、個々の細胞でどの遺伝子が活性化しているかという遺伝子発現を調べることが可能な配列決定法によって調べられた。

また、2名の患者では、腎臓の原発腫瘍組織と骨転移の組織を比較した。

この研究により、4つの特定の遺伝子からなる遺伝子シグネチャーが、腫瘍が骨格に転移するかどうか、また生存率の予測が実証された。
これらの遺伝子(SAA1、SAA2、APOL1、MET)が同時に過剰発現している場合、腫瘍が拡大するリスクが高く、生存率が低いことが示唆される。

また、転移性淡明細胞腎臓がん患者7名の骨転移巣の腫瘍細胞を調べたところ、この遺伝子シグネチャーと転移リスクとの関連性が確認された。

さらに、腫瘍の微小環境による免疫系の抑制が明らかになり、研究者らは、さらに調査することが興味深い薬剤のターゲットとなり得るものがいくつかあることを示唆している。

これらは、細胞間の相互作用のコンピューターシミュレーションによって同定された。

この研究は、淡明細胞腎臓がんにおける腫瘍細胞とその微小環境の相互作用に関する重要な生物学的知見を提供すると、研究者らは述べている。

「今回の結果が、腫瘍の微小環境に影響を与える要因のさらなる研究に貢献し、最終的にがんの再発や転移を治療する新しい方法を提供できることを期待している。
われわれにとって次のステップは、骨髄や骨格への転移が腎臓の局所腫瘍とどう違うのか、また腎臓がんの骨格への転移がある場合、骨髄が健康な骨髄とどう違うのかを研究することである。
なぜ一部の腎臓がん患者に免疫療法が効かないのかという疑問に答える助けになればと思う」と、この研究の筆頭著者であり、Karolinska Institutetの女性・子ども健康部のAdele Alchahin博士は述べる。

https://ecancer.org/en/news/22282-gene-signature-points-to-prognosis-in-kidney-cancer

(2022年10月18日公開)

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