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25 Aug 2022
University of Ottawaの教授らが率いる新研究によると、40~49歳の女性に毎年検診を行っているカナダの州は、毎年マンモグラフィーを実施していない州の50~59歳の女性に比べて、進行性乳がんの割合が低いことが明らかになった。
Current Oncology誌の最新号に掲載されたこの研究では、40~49歳の小集団を毎年スクリーニングしている州では、40~49歳の女性ではステージ2、3、4の乳がんの割合が低く、50~59歳の女性ではステージ2、3の乳がんの割合が低いことが明らかになった。
共同研究者であるUniversity of Ottawaの医学部准教授のAnna Wilkinson博士は、「これは、40~49歳の女性に対する検診政策が、50~59歳の女性に影響を与えることを示したカナダ初の研究である」と述べた。
「40代で検診を受けなかった女性は、50代で後期乳がんを発症している。これは、これらの女性にとって、がんがより早期に診断された場合よりも、より集中的な治療かつより悪い予後を意味する」
Wilkinson博士と同じく主執筆者のJean Seely博士は、2010~2017年の間に乳がんと診断されたCanadian Cancer Registryの40~49歳と50~59歳の女性55,490名のデータを再検討した。
研究では、2011~2017年までのステージ別乳がん発生率の変化を見ることで、2011 Canadian breast cancer screening guidelinesの影響を評価した。
2011年にカナダのガイドラインが変更され、40~49歳の女性には検診を実施しないことが推奨されて以来、40代の女性ではステージ1の発生率が13.6%減少し、ステージ2が12.6%増加していることがわかった。
50歳代の女性では、同じ期間にステージ2の発生率が3.1%増加した。40~49歳の女性を対象とした組織的な検診プログラムを継続実施していない州では、50~59歳の女性では、6年間でステージ4の乳がんが10.3%増加した。
生存率は、診断時の乳がんのステージが進行するほど低下する。ステージ1の乳がんの5年生存率は99.8%であるのに対し、ステージ4までに診断されたがんは23.2%となっている。このような結果は、より進行したがん、集中治療・手術、そして死亡率上昇につながる可能性がある。
「これは、Statistics Canadaが保有するCanadian Cancer Registryのデータを用いて、検診開始年齢に関するさまざまな政策の効果を研究する利点を示す素晴らしい例である」
Ottawa Hospitalの乳房画像診断部長でUniversity of Ottawaの医学部教授であるJean Seely博士は、「今回の結果は、最近更新されたUSA National Comprehensive Cancer Networkのガイドラインに沿ったもので、平均的リスクの女性には40歳から毎年マンモグラフィー検診を受けることを推奨している」と述べた。
「これらのがんを早期に発見することが、致命的な乳がんの減少や長期予後の改善につながるかどうかを判断するためには、さらなる研究が必要である」
乳がんの早期発見が生存率の向上につながるという証拠があるにもかかわらず、カナダの管轄区域では、40歳または50歳からの検診について異なる方針がとられている。
調査期間中、40歳代の女性に年1回のスクリーニングリマインダーを実施していたのは、British Columbia州、Alberta州、Northwest Territories州、Nova Scotia州、Prince Edward Island州である。現在、Nova Scotia州、Prince Edward Island州、Yukon州のみが年1回のリマインダーを採用している。
Full reference: ‘The Impact of Organised Screening Programs on Breast Cancer Stage at Diagnosis for Canadian Women Aged 40–49 and 50–59’ by Anna N. Wilkinson, Jean-Michel Billette, Larry F. Ellison, Michael A. Killip, Nayaar Islam, Jean M. Seely. Current Oncology, DOI: 10.3390/curroncol29080444
(2022年8月12日公開)