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e-cancer:乳がん 高レベルの血液凝固タンパク質と乳がんの予後不良との関連性を発見

08 Jul 2022

RCSI University of Medicine and Health Sciencesの新しい研究により、von Willebrand Factorと呼ばれる血液凝固に関与する重要なタンパク質の血中濃度が高いと、乳がん患者の予後が悪くなることが判明した。

今回の研究成果は、研究者や医師が乳がんをより深く理解し、患者の生命を脅かす血栓やがん転移のリスクを低減するための治療に役立てることができる。

この研究は、Journal of Thrombosis and Haemostasis誌に掲載され、乳がん患者の血液中のvon Willebrand Factorの濃度が非常に高く、その濃度が高い患者ほど予後が悪いことが明らかになった。
この研究結果は、乳がん患者の臨床転帰を予測する上で、von Willebrand Factorのレベルの分析が有用なことを示唆している。

また、乳がんが高濃度のvon Willebrand Factorを誘発するメカニズムについても検討し、乳がん細胞が血液凝固タンパク質の放出を引き起こし、乳がん細胞の血流循環を助け、乳がんが体内の他の臓器に転移するのを助ける可能性があることを明らかにした。

すでに血栓の治療に使われている抗凝固薬や血液凝固剤が、von Willebrand Factorのレベルを下げ、血液中のがん細胞の拡散を防ぐことによって、この効果を阻害する可能性がある。

今回の研究成果は、乳がん患者はなぜ血栓のリスクが高いのか、また、なぜ血栓が病気の悪化やがんの進行、全身への転移につながるのかを、医師がより深く理解するのに役立つと思われる。

RCSI のSchool of Pharmacy and Biomolecular SciencesのIrish Centre for Vascular BiologyのJamie O’Sullivan博士は、次のように語っている。「乳がんは、世界で最も患者数の多いがんであり、毎年200万人以上が罹患している。重要なことは、乳がんは原発巣ではなく、骨、脳、肺など体内の遠隔部位への転移が主な死因となることである。また、この乳がん細胞は血液を介して広がるため、患者の約5人に1人が血液凝固を起こし、生命を脅かす合併症のリスクを高めると言われている」

「今回の研究成果により、血液凝固を促進する重要なタンパク質であるvon Willebrand Factorの濃度が上昇し、乳がん細胞が血管壁と直接相互作用してこのタンパク質の放出を促進することが初めて明らかになった。興味深いことに、これは患者の血液凝固のリスクを高めるだけでなく、乳がん細胞が循環器を通して全身に広がるのを促進する可能性がある。この研究は、乳がん患者の血栓リスクがなぜ高くなるのか、また、なぜ血栓が病気の悪化やがんの進行、全身への転移につながるのかをよりよく理解することに役立ち、乳がん治療や世界中の患者の転帰に大きな影響を与えることになるだろう」

https://ecancer.org/en/news/22018-research-identifies-links-between-high-levels-of-blood-clotting-proteins-and-poorer-breast-cancer-outcomes

(2022年7月1日公開)

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