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e-cancer:肺がん タフト細胞由来の小細胞肺がんを克服する

30 Jun 2022

Cold Spring Harbor Laboratory(CSHL)のChristopher Vakoc教授の研究チームは、2018年に新しいタイプの小細胞肺がんを発見した。

このがんはタフト細胞(tuft cell)から発生する。
タフト細胞由来の肺がんの予後は極めて悪い。

今回、Vakoc教授のチームはタフト細胞が体内でどのように生成されるかを発見した。
タフト細胞の発生を阻害することが、この致死率の高い肺がんを治療する新たな方法となる可能性がある。

タフト細胞は感染症から体を防御するはたらきがある。
毛が密集した房(タフト)の名が示すように、タフト細胞には侵入者を感知するための味覚受容体がある。

研究チームは、タフト細胞が作られるにはPOU2F3タンパク質とOCA-Tタンパク質との結合を要することを発見した。

体内でタフト細胞の生成を阻害すれば、特に成人の肺がん患者で副作用を抑制できると考えられる。

「この相互作用を阻害した場合に予想される唯一の副作用はタフト細胞の欠失である」と、Stony Brook Universityの大学院生としてCSHLに在職し、この研究を主導したXiaoli Wu氏は説明した。

タフト細胞が欠失すると患者は回虫などの特定の寄生虫に感染しやすくなる可能性がある。
しかし、「化学療法を受けている成人肺がん患者にとって、通常、寄生虫の感染は健康上の大きな懸念にはならない」とWu氏は指摘した。

この2つのタンパク質の相互作用は驚くべきものであった、とWu氏は述べた。
「これまでPOU2F3は単独で、正常なタフト細胞や腫瘍性タフト細胞を生成していると考えられてきた。したがって、この重要なはたらきをするのに、POU2F3と同程度の重要性をもつパートナーを要することは驚きであった」とWu氏は説明した。

このタンパク質の相互作用の発見は、タフト細胞由来の肺がんに対して、より優れた標的治療が可能であることを示唆している。
「今回発見された相互作用は、このような腫瘍の弱点である可能性がある」とWu氏は述べた。また、本研究は今後のタフト細胞由来の小細胞肺がん研究の基礎となる。

「この論文は今後の研究の出発点となるだろう。我々の研究は、タフト細胞の生物学に関する多くの重要な問題を提起しており、私は科学者としてのキャリアの次のステージでも研究を続けていこうと思う」とWu氏は述べた。

https://ecancer.org/en/news/21982-getting-tough-on-tuft-cell-lung-cancer

(2022年6月22日公開)

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