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e-cancer:肺がん 細胞レベルで肺がんを早期発見するイメージングアプローチが研究により明らかに

03 Jun 2022

University of Pennsylvania、Abramson Cancer Centerの研究者らは、生検中リアルタイムに細胞レベルの肺がんを発見する方法を発見し、これまでより早期に高い信頼性をもって肺がんを発見できる見込みを示した。

同大学の既報の研究をもとに構築されたこの知見は、生検中リアルタイムにガイド技術を介して検出された造影剤によって、既存の技術では小さすぎて発見できないがん細胞を効果的に映し出すことができることを示した。

この新たなイメージングアプローチによって作成した、容易に特定できる発光性のがん細胞をもとに、専門外の評価者5人が悪性または非悪性組織検体を診断したところ、96%の正確度で、レビューした20個のヒト生検検体に偽陰性はなかった。同研究はNature Communications誌に今週掲載された。

同大学の研究チームは、喫煙歴のある患者から採取したがん細胞を調べた。研究者らは、がん細胞を取り出し、正常細胞とともにこれを実験室で増殖させ、多数の細胞がどの程度の小ささで発見できるかを確認した。

その後、治験造影剤Cytalux™(パフォラシアニン)注射剤とともにセットで使用するプローブ型およびニードル型イメージングプラットフォームCellvizio®を用いて、現在継続中の臨床試験の一部として、培養物、小動物モデルのほか、肺がん手術を受けた患者の組織等、多様な非臨床モデルで、こうした技術を統合することによって生検中リアルタイムに細胞レベルのがんを発見できることが分かった。

がんを標的とする近赤外線(NIR)トレーサーとNIRシグナルを検出するために改変されたニードル型共焦点レーザー内視鏡(nCLE)システムを組み合わせているため、研究者らはこの新技術をNIR-nCLEと呼ぶ。

多くの場合、関係するリンパ節が小さすぎて見えず、精密検査のために切除できないため、疑わしい組織の生検は必ずしも有効でない。

そのため多くの患者や医師はがんの存在が分からないままであるだけでなく、リンパ節が組織病理学的評価で切除や評価ができるほど充分大きくなるまで、生検や放射線学的サーベイランスを追加実施する必要があり、その完了には数日かかる。

現在の医用工学では生検中にリアルタイムで診断用の情報を得ることができない。

NIR-nCLEのような方法は、このような顕微鏡的リンパ節を発見するためのものであるが、同定の精度を高め、いずれがん細胞の除去も可能になる。

「目に見えない1つの細胞を映し出せる新たな方法が生まれたことで、がんが広がる前に、患者は早期診断という最高の好機を得られそうである」とUniversity of Pennsylvania一般外科のレジデントGregory T. Kennedy, MDは述べた。「この独特のアプローチによって、生検による情報が向上し、がんを早期発見する機会が増える可能性がある」

米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)によると、肺がんは米国で3番目に多いがんで、男女ともに肺がんによる死亡者数は他のがんに比べて多い。

毎年236,000人以上が肺がんと診断され、毎年130,000人以上が肺がんで死亡する。

「同研究は、たとえがんになりそうな病変が非常に小さく、一般的な診断能から漏れるおそれがあっても、そのような病変を正確に発見し診断できる可能性に光を照らすものである」とUniversity of Pennsylvania呼吸器外科のChiefで、Maul Measey外科研究部門准教授でもあり、Abramson Cancer Center、Center for Precision SurgeryのDirectorでもあるSunil Singhal, MDは述べた。「早期発見は治療が成功する可能性に極めて密接に繋がっているため、できるだけ早い段階で肺がんの診断を下すことが我々の研究の最重要課題である」

同研究者らは、他のがん種の早期診断にも役立つよう、このアプローチが使用できることを願っている。

同大の治験責任医師および協力企業が、肺がん、脳腫瘍、乳がん、肉腫、頭頸部がんおよび尿管がんにも、標的イメージング技術をさらに切り拓いている。米国食品医薬品局(FDA)は近頃、がん性病変を発見するため、手術中の追加策として、卵巣がんの成人患者にCytaluxの使用を承認した。

Center for Precision Surgeryおよび6つある附属研究室の研究者らは、2015年の設立以降、他にも複数の標的イメージング技術を開発してきた。 同大学の医師および研究者らは、現在までに同大学の患者1200人以上が参加する臨床試験で、このアプローチを検証してきた。

今回の新たな研究で、On Target Laboratories社が製造するCytaluxは、Mauna Kea Technologies社のリアルタイムin vivo細胞イメージングプラットフォームCellvizio®を用いて発見された。

同研究は、National Cancer Institute(F32 CA254210-01, R01 CA193556)、American Philosophical Society Daland Fellowship in Clinical Investigation、Thoracic Surgery Foundation Resident Research ScholarshipおよびPennsylvania Health Research Formula Fundから資金提供を受けた。

https://ecancer.org/en/news/21864-study-reveals-imaging-approach-with-potential-to-detect-lung-cancer-earlier-at-the-cellular-level

(2022年5月19日公開)

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