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19 May 2022
5月に開催されたAmerican Urology Association (AUA)年次総会で発表された臨床試験で、筋肉に浸潤しているため再発リスクの高い膀胱などの尿路上皮がん患者において、術後の免疫療法によるがん再発抑制効果が認められたことが示された。
この結果は、筋層浸潤尿路上皮がん患者に対する標準治療として、免疫療法であるニボルマブによる術後補助療法を支持する。CheckMate 274と名付けられた第3相無作為化二重盲検試験には、患者約700名が参加し、半数は化学療法を伴う手術を受けた後にニボルマブ、残り半数はプラセボの投与を受けた。
「膀胱がんやその他の尿路上皮がんの術後の免疫療法が、がんの再発リスクを低下させることを初めて立証した昨年の研究結果の補強のために、長期間の追跡データは重要である」と、筆頭著者で発表者のMount Sinai Tisch Cancer Center Genitourinary Medical Oncology部長Matthew Galsky氏は述べている。「世界では毎年20万人近くが尿路上皮がんで亡くなっており、このような免疫療法の進歩は希望をもたらす」
周囲の筋肉やリンパ節に浸潤した尿路上皮がん患者に対しては、膀胱または腎臓と尿管の切除術が標準治療となっているが、その約半数は後に致死的な転移がんを再発する。
残念ながら、このような患者にとって、がんの再発リスクを低減する術後の治療法についてコンセンサスが得られていないため、AUAで発表された結果は重要な意味を持つ。
CheckMate 274では、追跡期間は最低11か月であったが、ニボルマブ投与群はプラセボ投与群に比べ、がん再発の可能性が約30%低いことが確認された。
ニボルマブの抗がん作用により反応しやすい、PD-L1という遺伝子を持つ腫瘍があり、免疫療法を受けた患者の無がん率はさらに高かった。
AUAで発表された、この長期無病生存データは、Galsky氏らがNew England Journal of Medicine誌に発表した最初のデータに基づく。Bristol Myers Squibb社から資金提供を受けた、この試験の患者のフォローアップは現在進行中である。
(2022年5月15日公開)