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e-cancer:肺がん 肺気腫の重症度と肺がんリスクの関連性

18 May 2022

CTで検出された肺気腫は肺がんリスク上昇につながり、そのリスクは肺気腫の重症度によって上昇することが、Radiology誌に発表された新研究により明らかになった。

肺がんは、世界のがん関連死の主要原因であり、2000年以降、毎年100万人以上が死亡している。しかし、肺がんリスクは、喫煙、遺伝、食事、職業曝露とともに、慢性肺炎などの治療可能な危険因子を特定することで低減することが可能である。

肺気腫は、肺の中にある小さな気嚢である肺胞の損傷によって特徴づけられる慢性呼吸器疾患である。症状としては、息切れ、粘液を伴う咳、喘ぎ、胸の圧迫感などがある。治療法はないが、症状を抑えるための治療法は多い。

肺気腫には、世界のがん関連死亡原因の第1位である肺がんと多くの共通危険因子がある。

喫煙は、炎症、DNA損傷、老化を促進するため、肺気腫と肺がんの重要な共有リスク要因の一つである。しかし、研究の共著者である、オランダのUniversity Medical Center Groningen疫学部のMarleen Vonder氏によると、喫煙したことがない肺気腫の人も肺がんのリスクが高くなる。

「肺気腫と肺がんの関連性については、遺伝的感受性、慢性炎症またはDNA損傷、異常修復機構、あるいはそれらの組み合わせといった他の発症機序が提示されている」と、Vonder氏は述べた。

Vonder氏らは、今回の研究で、肺気腫と肺がんの関連について3つの大規模データベースからの研究を確認した。107,000人以上の患者を対象とした21件の研究の解析により、肺気腫と肺がんの視覚的評価と定量的評価(測定可能なCT評価)の関連性が判明した。

「われわれのメタアナリシスでは、CTで視覚的に検出された肺気腫だけでなく、定量的に評価された肺気腫も肺がんと関連し、このリスクは肺気腫が重症であるほど高くなることが示された」と、Vonder氏は述べた。

今回の研究結果は、この2つの深刻な疾患の関連性を裏づけるが、臨床治療の変更前に、さらなる研究が必要であると、Vonder氏は述べた。

「CTによる肺気腫の存在が、肺気腫と肺がんの既知の共通危険因子よりも、漸進的で独立した予後値につながるか結論づけるのは時期尚早である」と述べた。

CTによる肺気腫の存在と肺がんの関連は、定量的評価と比較して、視覚的評価のカテゴリーでより高かった。この知見にもかかわらず、Vonder氏は、定量的評価は完全に自動化できるため、最終的には視覚的評価よりも支持される可能性があると述べている。Vonder氏らは、この方法を研究し、特定の集団での使用を検証している。

Vonder氏は、「基本のCTスキャンにより肺気腫が検出された場合、より頻繁に継続的肺がん検診を必要とする高リスク被験者の選択に使用できる可能性がある」と述べた。

https://ecancer.org/en/news/21828-emphysema-severity-associated-with-higher-lung-cancer-risk

(2022年5月9日公開)

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