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e-cancer:脳腫瘍 悪性脳腫瘍の発生を抑制する遺伝子メカニズムを同定

28 Mar 2022

研究者らは、Klotho遺伝子が脳と脊髄の悪性腫瘍である膠芽腫細胞の増殖を抑制することを発見した。

この実験により、Klotho遺伝子が膠芽腫細胞の新たな診断・治療法を開発する可能性が示された。

本研究とその結果を記述した論文は、Journal of Molecular Neuroscience誌に掲載された。

アンチエイジング遺伝子として同定されたKlotho遺伝子は、膜貫通型と分泌型の2つのタンパク質産物を産生することができる。

膜貫通型のタンパク質は、個々の細胞の膜に埋め込まれ、直接作用する。

分泌型は、細胞から細胞間隙に放出され、血流に乗って全身に広がり、遠隔の細胞を含む多くの細胞に影響を与える。

「Klotho遺伝子が膠芽腫細胞の細胞生存率を抑制するというエビデンスは、世界の科学がすでに得ていた」と、研究グループの代表でウラル連邦大学准教授、ウラル国立医科大学および医療細胞技術研究所の職員であるVsevolod Melekhin氏は述べている。「今回の研究のユニークな点は、分泌型のKlothoタンパク質に特化して行われたことである。この方法論的なニュアンスによって、腫瘍疾患発症のメカニズムを少し広く検討することができる」

実験では、バクテリアから採取したプラスミドという閉じた環状のDNA分子に組み込んだKlotho遺伝子を用いた。

そして、その遺伝子を膠芽腫細胞に移植した。

プラスミドはそのままでは細胞内に入ることができないため、研究チームはプラスに荷電したDNA-脂質の複合体を用いた。プラスに荷電したDNAは、マイナスに荷電した細胞表面に容易に引き寄せられ、同じく脂質が主成分の細胞膜と融合し、そこを通過して細胞内に入っていく。

「ウイルスを使った遺伝子導入は、細胞への侵入が容易である。しかし、ウイルスは細胞の遺伝物質の総体であるゲノムに自らを埋め込む能力を持っている。また、ゲノムを改変するような技術の使用は、法律や倫理基準によって制限されている。プラスミドは細胞内で2〜3週間しか働かず、その後破壊され、細胞のゲノムに痕跡を残さない」とMelekhin氏は説明する。

膠芽腫細胞内に入り、過活動状態にすると、Klotho遺伝子は同名の分泌タンパク質を産生し、細胞間隙に入り込んだ。

3回の実験の結果、72時間後にはタンパク質の産生量が約15倍に増加し、膠芽腫細胞の生存率は8%低下し、細胞数は対照値のほぼ20%減少したことが記録された。

「このメカニズムは、細胞の自己破壊プログラムである “自殺 “の引き金となるものである。悪性腫瘍細胞では、アポトーシスのメカニズムが遮断されているため、常に増殖し制御不能な状態になっている。しかし、今回の実験の結果、アポトーシス細胞の数が大幅に増加した」とMelekhin氏は付け加えた。

分泌型Klothoタンパク質の研究は、より効果的な治療法や診断法の確立に向けた新たなステップになると、研究者は述べている。

https://ecancer.org/en/news/21665-scientists-identified-a-gene-mechanism-probably-suspending-the-development-of-a-malignant-brain-tumour

(2022年3月11日公開)

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