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09 Feb 2022
2つの超音波を組み合わせた乳がんの新しい診断ツールが開発された。
Kim Chulhong教授(Convergence ITエンジニアリング、電気工学、機械工学部門に所属)とMisra Sampa 氏(Convergence ITエンジニアリング)率いるPOSTECH研究チームは、グレースケールBモードとstrain elastography (SE) 超音波イメージングを組み合わせた乳がん検出ディープラーニングモデルを開発した。
超音波画像は、マンモグラフィ、X線、MRIなどの他の診断方法と比較して、非常に安全性が高く、コストが低いだけでなく、組織を深く観察することが可能である。
これらの中で、病変構造を明確に示すグレースケールBモード超音波および腫瘍密度を示すstrain elastography超音波は乳がん分類に広く使用されている。
そこで、Kim教授のチームは、この2つを組み合わせ、それぞれの強みを最大限に引き出した。
この研究は、生検で確認された良性病変42名、悪性腫瘍43名を含む85名の乳がん患者を対象に行われた。
2つのディープニューラルネットワークモデルAlexNetとResNetを、良性および悪性病変の患者67名のグレースケール画像とSE画像を合わせた205枚の画像に対して別々に学習させた。
その後、2つのディープラーニングモデルを連携して動作するように設定し、残りの患者18名の56枚の画像のデータセットで試験した。
このディープラーニング集合モデルは、2つの異なる超音波画像に存在する多様な特徴を同定し、悪性腫瘍の存在を検出することに成功した。
実験結果は、ディープラーニング集合モデルの精度が90%であり、個別モデル(各84%)や、グレースケールBモード(77%)またはSE画像(85%)のみを用いて学習したモデルよりも高いことを実証している。
特に、個別モデルでは患者5名を誤判定したのに対し、集合モデルでは2名しか誤判定しなかった。
これまで、乳がんの分類には超音波画像が用いられていたが、放射線科医の不足や画質の悪さに悩まされていた。
今回開発したディープラーニングモデルは、乳がん診断の精度を高める。
IEEE Transactions on Ultrasonics Ferroelectrics and Frequency Control誌に掲載されたこの研究を率いたChulhong Kim教授は、「このディープラーニングモデルを使用すると、超音波画像中の乳がんを正確に分類できるため、優れた検出効率を達成できる」と説明している。
(2022年2月4日公開)