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e-cancer:脳腫瘍 スミレから抽出した化合物が膠芽腫の治療に役立つ可能性

08 Feb 2022

植物のスミレから抽出された環状ペプチドには、脳腫瘍の中でも進行性がきわめて高い神経膠芽腫(glioblastoma)の治療の新たな道筋を拓く可能性が出てきた。

研究者らの報告によると、スミレから生成される小型の環状ペプチドのシクロチドが、化学療法剤のTMZがヒトの神経膠芽腫のがん細胞を死滅させる能力を高めるという。

神経膠芽腫は、成人および小児の脳腫瘍の中でも致死的なタイプであり、診断からの生存期間の中央値は9~16ヵ月である。

腫瘍のうち半数は唯一のFDA承認薬であるTMZに耐性を示し、残りの半数の腫瘍はこの化学療法に対する耐性を急激に進展させる。

シクロチドとTMZを併用した場合、膠芽腫細胞を死滅させるTMZの能力が最高8倍まで高まると研究者らは報告している。

Journal of Natural Products誌に掲載されたこの論文の筆頭著者であるDillard UniversityのSamantha Gerlach教授は、「今まさに、神経膠芽腫の今後のより良い治療法につながる道のりを踏み出したところである」と述べている。

Wyoming州内の複数のラボで研究が進められているが、現在の最大の難題は試験に必要十分量の化合物をスミレから抽出することであり、ごく少量を得るだけでも数キログラムのスミレが必要となる。

州内のJackson Holeに拠点を置く非営利団体Brain Chemistry Labsの理事のPaul Alan Cox博士は、「我々が行っている細胞培養の研究は励みにはなるが、臨床現場で有用となるにはほど遠い」と注意を促す。

さらに同博士は「マウスでの試験の実施に十分な量のシクロチドを抽出するだけでも数ヵ月を要する」と付け加える。

技術的にはそのような障壁があるものの、この研究チームが臆することはない。

同博士は、「神経膠芽腫の診断を受けた患者、特に小児には治療の選択肢がほとんどない」と述べている。

「最終的な我々の目標は、神経膠芽腫患者とその家族に新たな希望をもたらすことである」と語る。

https://ecancer.org/en/news/21521-compound-from-violets-may-help-fight-glioblastoma

(2022年1月27日公開)

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