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e-cancer:がん全般 乳酸はがん医療に関する知識を高める可能性

08 Feb 2022

腕立て伏せやスクワット、自転車通勤などで筋肉が酸性になるのは、乳酸が原因である。

筋肉が緊張するとすぐにエネルギーが作られ、その副産物として乳酸が産生される。しかし、乳酸はがん細胞にも豊富に含まれており、がん細胞は分裂や腫瘍の形成に多くのエネルギーを費やしている。

今回、University of Copenhagenの新たな研究により、特定の酵素がタンパク質から乳酸マークを除去できることが明らかになった。研究者らは、このことが特にがん治療の効果についての理解を深めることになると期待している。

「もちろん、最終的な目標は、できるだけ副作用の少ない薬を開発することである」と、この新しい研究の責任著者である薬剤設計・薬理学科のChristian Adam Olsen教授は述べている。また、彼はこう補足している。

「乳酸マークを除去できる酵素についての知識が増えれば増えるほど、これらの特異的酵素を標的とした新薬の候補を設計することが容易になる。そのため、これらの酵素を標的とした新しい抗がん剤の開発に影響を及ぼす可能性がある」

乳酸を産生する過程では、例えば運動などに関連して身体を助け、がんに関連して身体を不健康にする。したがって、乳酸のレベルが人間の細胞にどのような影響を与えるかを調べることは興味深い。

この研究の一環として、Christian Adam Olsen氏と他の研究チーム(University of ChicagoのYingming Zhao教授率いるチームも参加)は、研究室で健康なヒト細胞とがん細胞を培養した。

いくつかの実験では、細胞を破壊し、特定の抗体を用いてさまざまな部分をより詳細に調べた。しかし、特定の細胞成分を蛍光化する試薬を用いて、生細胞を直接調べることも行っている。

本研究の筆頭著者であるUniversity of Copenhagenのポスドク、Carlos Moreno-Yruela氏によると、このことはこれらの特異的酵素が実際に乳酸マークを除去することを示している。

「これらの酵素を除去すると、乳酸レベルは有意に増加した。既存の抗がん剤で酵素を阻害した場合も同様であった」とCarlos Moreno-Yruela氏は述べている。

研究者らは、今回の研究結果が新しい抗がん剤の開発への貢献を期待するとともに、今回の発見によりエピジェネティクスに対する理解が深まると考えている。

なぜなら、細胞内の乳酸は、遺伝子の読み取りに影響を与えるエピジェネティックな目印になる可能性があるからである。親から受け継ぐ遺伝とは異なり、私たちのエピジェネティクスは生涯を通じて変化する可能性がある。

食事、睡眠、運動などは、私たちのエピジェネティクスに影響を与える要因の一つであることが、これまでの研究で明らかにされている。

「乳酸マークが遺伝するかどうかは、まだ分かっていない。しかし、もしそうであれば、食事や睡眠、運動などが次世代のエピジェネティックなマークに与える影響を調べることは興味深いかもしれない。このような疑問に答えるには、マウスなどの動物モデルの研究から始めるとよい」と、Christian Adam Olsen氏は結論付けている。

研究全体については、Science Advances誌に掲載された「Class I histone deacetylases (HDAC1-3) are histone lysine delactylases」(ヒストン脱アセチル化酵素)をご覧頂きたい。

University of Copenhagenで実施された本研究は、デンマーク独立研究基金およびERC Consolidator Grantの資金提供を受けた。

https://ecancer.org/en/news/21506-lactic-acid-may-increase-knowledge-of-cancer-medicine

(2022年1月21日公開)

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