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e-cancer:前立腺がん リポタンパクAと前立腺がんリスクとの関連を示す遺伝的手がかり

07 Feb 2022

英国のImperial College LondonのAnna Ioannidou氏らは、新たな解析により、前立腺がんリスクが高いことと、血中コレステロール輸送分子であるリポタンパクAの血中濃度が高いことに関連する遺伝子変異との間に関連性がある可能性があることを明らかにした。この知見はオープンアクセス誌PLOS Medicine誌に掲載されている。
前立腺がんリスクを高める要因には、高齢であることやアフリカ系であることなど修正不可能なものもある。一方、喫煙や肥満など、進行性の前立腺がんの危険因子は改善できる可能性がある。これまでの研究から、脂質の血中濃度が高いこともリスク上昇と関連する可能性があることが示唆されている。

仮にそうであれば、脂質低下薬は理論上、前立腺がんリスクを低下させる可能性がある。しかし、血中脂質と前立腺がんとの関連性に関する既存のエビデンスは結論に至っていない。

Ioannidou氏らは、こうした可能性のある関連性をさらに理解するために、前立腺がんリスクといくつかの血中脂質(リポタンパクA、低密度リポタンパクコレステロール、高密度リポタンパクコレステロール、トリグリセリド、アポリポタンパクAおよびB)との関連性を分析した。

研究チームは、U.K. BiobankとPRACTICAL consortiumという2つの大規模な研究イニシアチブを利用して、数十万人分のゲノムデータと前立腺がんリスクデータを解析した。

この研究では、メンデルランダム化と呼ばれる方法を採用し、減数分裂という遺伝的過程に内在するランダム性を利用して解析の妥当性を高めている。

そこで研究者らは、血流中の脂質の直接測定を考慮する代わりに、血中脂質濃度の違いに関連する個人のDNA配列の変異を評価した。次に、これらの遺伝子変異が前立腺がんリスクと統計的に関連しているかどうかを分析した。

この解析では、血中リポタンパクA値が高いことを予測する遺伝的変異が、前立腺がんの全リスクが高く、進行性または早期発症型前立腺がんのリスクも高いことが示された。研究者らは、他の血中脂質との有意な関連は認めなかった。

これらの知見は、リポタンパクAを低下させる薬剤が開発されるか、あるいは再利用されて、一部の人の前立腺がんリスクを低下させる可能性を示唆している。本研究で観察された関連性を確認し、その根底にある生物学的メカニズムを明らかにするために、さらなる研究が必要であろう。

著者らは、「われわれの研究は、血中コレステロールを輸送するタンパク質であるリポタンパクAの血中濃度が高い人は、前立腺がんを発症するリスクが高い可能性があることを示唆している」と付け加えている。

https://ecancer.org/en/news/21505-genetic-clues-link-lipoprotein-a-to-prostate-cancer-risk

(2022年1月27日公開)

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