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e-cancer:皮膚がん 新たなメラノーマ検査法はがん転移リスクが低い患者を安心させることができる

28 Jan 2022

最も致死率の高い皮膚がんの転移拡大や再発を予測する精度の高い先駆的な検査法が、英国Newcastle Universityの研究者と臨床医のチームによって開発された。

この技術的な進歩は、皮膚がんの増殖メカニズムの解明という科学的なブレークスルーを果たしたことによってもたらされた。

Newcastle UniversityのPenny Lovat教授が同大学発の企業であるAMLo Biosciences社と共同開発したこの検査は、早期メラノーマの診断を受けた患者に安心感を与えるものである。

原発性メラノーマの摘出時に行われる標準的な生検にこの検査を追加することで、メラノーマの再発・転移のリスクが低い患者を特定することができる。

National Institute for Health Research(NIHR)の支援により、AMLo Biosciences社との共同で、患者から切除したメラノーマの切片を研究所に郵送して分析する紹介サービスが提供される。

この検査は患者の病勢進行リスクを特定し、新規診断の約75%を占める非潰瘍性早期メラノーマと診断された患者の病勢拡大のリスクに関する信頼性の高い情報を提供する。

研究者らはこの検査の基礎となる皮膚のメカニズムを実証し、British Journal of Dermatology誌に発表した。

メラノーマは世界的に増加しており、英国では16,000人以上、米国では96,000人以上が毎年新たにメラノーマと診断されている。

本研究によると、転移拡大の恐れがある早期メラノーマは増殖因子であるトランスフォーミング増殖因子β2(TGF-β2)を分泌し、腫瘍部位の皮膚に存在するタンパク質AMBRA1とロリクリンを減少させるか、ダウンレギュレートすると説明している。

また、TGF-β2はクローディン-1の喪失を引き起こして皮膚の統合性を喪失させ、潰瘍を促進させる。

筆頭著者であるNewcastle University細胞性皮膚科学・腫瘍学教授でAMLo Biosciences社のChief Scientific OfficerであるPenny Lovat教授は、次のように説明している。

「AMBRA1、ロリクリン、クローディン1は壁を支えるモルタルやレンガのように、上皮組織の統合性を維持するための重要なタンパク質である。これらのタンパク質が失われると、壁のモルタルが崩れるように隙間が生じる。これにより腫瘍が拡大し、最終的には潰瘍が生じる。潰瘍が高リスク腫瘍と関連があるのはよく知られている。この生物学的メカニズムの新たな理解が、今回の検査の基礎となった」

また、Penny Lovat教授は次のように補足した。「この検査は、皮膚がんが拡大傾向を持っていないかどうかをより正確に予測するため、個別化された予後を示すことができる。この検査によって、早期メラノーマと診断された患者のうち、実際はリスクの低い患者を識別することができるため、経過観察に要する診断の予約回数を減らし、NHSの時間と費用を節約するのに有用である」

British Skin Foundationの最高執行責任者であるPhil Brady氏は、次のように述べた。「British Skin Foundationは、Penny Lovat教授の画期的なメラノーマ研究を支援できることを誇りに思う。AMLor社が開発した検査によって致死的な皮膚がんと診断された患者のストレスや不安が軽減され、同時にNHSの効率化とコスト削減が期待できる」

皮膚科医でBritish Skin FoundationのスポークスマンであるNick Levell教授は本研究に携わっていないが、次のように述べた。
「これは素晴らしいニュースだ。メラノーマに対するこの新しい検査は多くの皮膚がん患者を救うことになるだろう。リスクの低い人は安心できるし、検診のために頻繁に病院に通う必要もなくなる。このBritish Skin Foundationの共同出資による研究は、メラノーマ治療後の個別化医療を進める重要な一歩となるだろう」

現在、原発性腫瘍は外科的に切除され、病理医による組織学的診断によって皮膚がんのステージと転移の危険性が判断されている。

たとえ低リスクと判定されたとしても患者は5年間もクリニックでの経過観察を受けるが、この検査はまさにこのような低リスク患者を特定することができる。

https://ecancer.org/en/news/21475-first-melanoma-test-to-offer-reassurance-of-low-risk-of-cancer-spread

(2022年1月14日公開)

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