ニュース
19 Jan 2022
JNCCN-Journal of the National Comprehensive Cancer Network誌の2022年1月号に掲載された新しい研究で、敗血症性ショックの血液悪性腫瘍患者に及ぼす影響が調査され、67.8%が28日未満で死亡し、90日後も生存していたのはわずか19.4%であったことが明らかになった。
研究者らは、2016年4月1日~2019年3月31日の間に敗血症性ショックで入院した成人血液がん患者459例を調査した。生存率は、ICU入院日から患者の死亡日または最終追跡日まで算出した。
この研究では、過去20年間にわたって敗血症による死亡率が低下している非がん患者と比較して、この患者群のリスクが有意に高いことが示されている。
「われわれの結果は、がん患者の間で敗血症性ショックの致死性に対する認識が高まる機会と、その予防の重要性を強調している」 と、University of Texas MD Anderson Cancer Centerの救命救急診療部上席研究者のJoseph L Nates氏は述べた。
「血液がん患者の感染率を低下させ、敗血症性ショックへ進行する前に敗血症の早期発見を促進する予防戦略を開発しなければならない。
このような感染症が疑われるがん患者においては、抗生物質治療の早期開始、適切なモニタリング技術、合理的な輸液蘇生も強調すべきである」
その知見によれば、急性呼吸不全、血中乳酸値の上昇、多臓器不全が死亡する確率を高めていた。アミノグリコシド系抗生物質の投与や白血球コロニー刺激因子による治療を受けている場合は、敗血症性ショックから生還する確率が向上した。
同種幹細胞移植を受け、その後移植片対宿主病を発症した患者さんの90日生存率はわずか4%と最も低いものだった。
「本研究は、敗血症患者の特定と治療の進歩にもかかわらず、血液学的悪性腫瘍患者の転帰が非常に悪いという事実を浮き彫りにした」と、Don Merrill Rees Presidential Endowed Chair であり、Huntsman Cancer Center-University of Utah Health医学部感染症学科のSankar Swaminathan医師はコメントしている。Swaminathan氏は本研究に参加していない。
「敗血症性ショックで入院した患者の死亡率がきわめて高いことは深刻であり、これらの患者を病状の早期段階で特定するための戦略を改善する必要性を強調している。がん関連感染症の予防と治療のためのNCCNガイドラインでは、管理の指針としてリスク層別化を活用しているが、この分野でのさらなる研究が明らかに必要である」
NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines ®)のPanel for Prevention and Treatment of Cancer-Related Infectionsの副委員長であるSwaminathan医師は、さらに次のように続けた:「この研究では、抗生物質、サイトカインの早期使用、ICU入室など、この集団における敗血症性ショックの転帰を改善する上で重要と思われる治療の側面も特定されている。
敗血症性ショックのリスクを有する血液悪性腫瘍患者の特定と標的治療を促進する、この分野のさらなる研究を期待している」
(2022年1月12日公開)