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e-cancer:頭頚部がん 唾液検査によりヒトパピローマウィルス誘発頭頚部がんを早期発見できる可能性がある

04 Oct 2021

ハイリスクのヒトパピローマウィルス(HR-HPV)を引き起こすがんは、HR-HPV誘発頭頚部がん(HNC)、特に口咽頭がん(OPC、または咽頭がん)発生率上昇の原因である。

研究者らは、診断時点でほとんどのHPV誘発OPC患者の唾液内で、HR-HPV DNAを検出することができることを特定した。

この研究により、早期のがん検出および患者モニタリングのための唾液HR-HPV DNA検査に基づいた救命検診プログラムの潜在性が浮き彫りとなった。この調査結果は、Elsevier発行のThe Journal of Molecular Diagnosticsに掲載されている。

「HPV誘発頭頚部がんの激増にもかかわらず、同じウィルスにより生じる子宮頸がんとは異なり、この種類のがんに対する早期検出法やスクリーニング戦略はない。早期検出、モニタリング及び疾患予後診断を可能にするバイオマーカーは、HPV誘発OPC発生率上昇に有効であるとされている」オーストラリア クイーンズランド州ブリスベン、Translational Laboratory、Queensland工科大学(QUT)保健学部生物医科学科頭部、唾液及び液体生検トランスレーショナル研究室、および主要治験責任医師であるChamindie Punyadeera博士がこれを確認している。

Punyadeera氏らは、OPCの予後バイオマーカーとして唾液HR-HPVの実用性を評価するためにOPC患者の生存パターンについて、HPV-HNCのバイオマーカーとしての唾液HPV検出の有効性を調査した。

唾液検査は、初めてHNCと診断された患者491名、およびHNC再発患者10名に実施された。

43%の患者が唾液HR-HPV DNAで陽性であった。ハイリスクなウィルス株であるHPV16がHPV陽性唾液検体の92%で検出された。

大部分のHPV-HNCが中咽頭、特に口蓋扁桃と舌根から生じており、中咽頭がこれらのがんのホットスポットであることを明らかにしている。

OPC患者の72%で唾液内にHR-HPV DNAが確認され、89.3%に腫瘍p16の過剰発現が認められた。これらの発見は、HR-HPV DNA早期発見の促進とスクリーニングのためのバイオマーカーとしての唾液検査の実用性を支持するものである。

OPC患者215名が最長5年間経過観察された。唾液性HR-HPV陽性患者は、唾液性HR-HPV陰性患者に対して明確な生存率の改善を示した。

平均無イベント生存期間はHR-HPV陽性患者で205ヵ月、これに対し陰性患者は82ヵ月であった。本試験でのがん再発患者数は少ないものの、唾液HR-HPVは発症の局所時点では大半の患者が陽性となる傾向があることを本所見は示している。

「検体採取の利便性と非侵襲的特性を考慮すると、唾液性HR-HPV試験は無症状の人の選別やHPV誘発HNC患者の長期モニタリングの理想的な方法である。近い将来、唾液性HR-HPV試験がHPV誘発OPC患者の日常的な臨床管理の一部となることを、我々の所見は示している」とPunyadeera氏は指摘した。

「HNCにおける液体生検には、真の変化をもたらす可能性がある」と説明するのはオーストラリア クイーンズランド州ブリスベンQueensland大学医学部およびRoyal Brisbane & Women’s州立病院、ならびに共治験責任医師のSarju Vasani医学博士である。

「この液体生検には治療選択を個別化し、疾患予後の評価に役立つ可能性がある。そして、補助療法の対象となる患者を選定しやすくなり、画像診断や臨床試験が特定の異常を検出する前に再発を警告する。これらのバイオマーカーが、研究の場から臨床診療へと移行するのは時間の問題である」

米国を含む一部の国では、HNCと、特にOPCは最も多いHPV誘発がんとして子宮頸がんを上回っている。患者はほとんどの場合、進行期に診断される。早期では、これらのがんを画像検査や診察で発見するのは困難である。

中咽頭はアクセスが難しく、これらの小さな病変が扁桃腺の隙間に隠れていると検出はさらに複雑である。これらのがんは、原発がんが小さくて検出できない時点でも早期に転移する可能性がある。

https://ecancer.org/en/news/20974-saliva-testing-may-allow-early-detection-of-human-papillomavirus-driven-head-and-neck-cancers

(2021年9月22日公開)

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