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08 Sep 2021
半数の人々が一生涯のうちにがん診断に直面するが、良いニュースは、二つに一つのがんによる死亡は回避できるということである。
実際に、予防介入はがんとの闘病で最も効果的な方法であると、Carsten Carlberg教授とEunike Velleuer医師は彼らの新しいテキスト、Cancer Biology: How Science Worksの中で指摘している。
このテキストでは、がんにつながるメカニズム、免疫系のがん監視メカニズム、がん予防のさまざまな側面、並びにがんの効率的な治療法など、がんの全体像を読者に提供している。
がんとは、共通して制御不能な細胞増殖を有し、基本的に我々の体のすべての臓器に影響を与え得る病気の集合体である。
成人において新たに診断されるすべての悪性腫瘍の背景には、それぞれにおそらく20年以上の腫瘍形成歴がある。
悪性腫瘍形成にはほとんどの場合時間がかかるという事実により、多くの症例においてがんは加齢に伴う病気であるということになり、一見それは回避不能のようにも見える。
しかし、本著者は、腫瘍形成は多角的な環境の影響に左右されると強調している。「喫煙を控える、健康的な食品を選び、よく運動するなど、ライフスタイル上の決断によって、我々は環境上の発がん促進および抗がん作用を制御することができる」
がんは、主として私たちの細胞内のDNAの散発性突然変異の蓄積により生じるため、ゲノムの病気として考えられている。
さらに、我々は皆、異なる種類のがんに対する感受性を決定づけるさまざまな遺伝的ゲノムを保有している。
しかしながら、腫瘍形成は細胞同一性における異常、内外刺激、およびトランスクリプトームにおける大きな変化への異なる反応を伴い、これらはすべて主に我々のエピゲノムにおける可逆性変化に基づくものである。
全ゲノム配列解析のような最新テクノロジーにより、我々はがんの増殖精度の変化を理解、追跡することができ、さらに標的に集中した予防、予後および治療が可能となる。
11章からなる本書はがんに関する概要を提供し、がんの分子ベースおよび細胞的機構を検証し、がんに対する効果的治療概念を説明している。
本書では、がん生物学の現在の理解を明らかにすることに加え、Velleuer医師の専門的な経験に基づいて、臨床例を伴う基本的生物学や実践的ケアが組み合わされている。
本書の内容はがん生物学の講座に関連しており、KuopioのUniversity of Eastern FinlandのCarlberg教授による分子医学および遺伝学、分子免疫学およびニュートリゲノミクスのコースを伴うシリーズの一部である。
本書はまた、これらのテキストにも関連している:Mechanisms of Gene Regulation: How Science Works, Human Epigenetics: How Science Works and Nutrigenomics: How Science Works、Carlberg教授共著。
Carsten Carlberg氏は、University of Eastern Finland生体臨床医学研究所の生物化学教授である。彼の研究は、特にビタミンDにおける核ホルモンによる遺伝子制御メカニズムに焦点を当てている。
現在のCarlberg教授の研究は、がんに関するヒト免疫系におよぼすビタミンDのエピゲノム全体の作用に関するプロジェクトである。
Eunike Velleuer氏は、小児血液腫瘍学専門の医師である。現在、彼女はドイツMönchengladbachのNeuwerk小児病院で上級医師として、またUniversity of Düsseldorfで研究員として勤務している。
彼女の専門臨床研究は、がん素因症候群ファンコニ貧血である。
ここでの彼女の研究対象は、口腔扁平上皮がんの早期発見および予防、ファンコニ貧血のリスクのある患者の特定である。
さらに、彼女は患者の回復力の上昇、および長期的エンパワメントのための代替法を見出すことに関心を持っている。
https://ecancer.org/en/news/20795-new-textbook-explains-cancer-and-how-to-fight-it
(2021年8月26日公開)