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31 Aug 2021
最近の研究によると前立腺がん患者では、診断と治療後何年たってもがん再発への恐怖(再発不安:FCR)を抱き続ける人がいることが明らかになった。
教育レベル、前立腺切除からの経過年数、がん再発の兆候、現行の治療法がFCRの予測因子であった。調査結果は、Wiley社のサイトに掲載されているAmerican Cancer Societyの査読付きジャーナルであるCANCER誌オンライン版で公開された。
この研究は、前立腺切除術を受けてから平均7年後に質問票に回答した2,417人の患者を対象とし、術後9年時に別の質問票に回答した。
得られた回答から、患者の初期評価時に6.5%、フォローアップ時に8.4%が高いFCRを申告したことが明らかになった。
初期評価時にFCRが高い患者は、9年後のFCR継続を予測する最も強力な因子であった。フォローアップ時におけるFCRの他の予測因子は以下のとおりである。
・教育レベルがより低いこと
・前立腺がん手術後の経過年数が長いこと
・治療後最初の数年間にがん再発の兆候がみられたこと
・前立腺がんの治療を現時点で受けていること、および不安を有していること
「診断と治療後何年経っていたとしても、FCRは特定の前立腺がん生存者に負担をかけ続けており、FCRが生活の質と心理的健康を抑制してしまうため、医療従事者はリスクのある患者を特定し、適切な心理社会的ケアを提供するためにFCRをモニタリングする必要がある」と、ミュンヘン工科大学(ドイツ)の筆頭著者であるValentin Meissner博士は述べた。
付随論説には「本研究は、FCRに関する最も長期間の縦断的分析に関するこれまでで最大のレジストリ研究である」と述べられている。論説の著者は、FCRに関してさらなる研究をする必要があると述べた。
(2021年8月18日公開)