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21 May 2021
網膜芽細胞腫は眼の後ろの薄い膜である網膜から発生する。ほとんどの患者は乳児または幼児の時に腫瘍が発見される。治療をしなければがんは拡大するが、化学療法、手術、その他の治療によって96%の患者が生存できる。
St. Judeの研究者らは、網膜芽細胞腫患者が治療後に自宅や学校でどのように過ごしたかを研究した。98人の網膜芽細胞腫患者を対象としたSt. Judeの先行研究では、診断から5歳時までの彼らの学習能力と生活能力は低下していたことが明らかになっている。
研究者らは先行研究の5年後に、同研究の参加者のうち78人を対象としてテストを行った。その結果はより有望なものであった。10歳までに網膜芽細胞腫のほとんどの子供たちの機能は、その地域でみられる正常範囲内であることがわかった。
対象者には片眼を摘出した子供たちも含まれていたが、学習、思考、記憶の分野ではほかの子供たちと同程度までの回復は見られなかった。
St. Jude PsychologyのVictoria Willard, PhDは、「良いニュースは時間の経過とともに全体的に改善がみられたことだが、一方では全員が同じ速度で回復しているわけではない」と述べた。
「この結果は、後年になって子供たちが困難を抱えるリスクとなる要因を、医療者全員が認識する必要があることを示している。本結果は網膜芽細胞腫のすべての小児患者が、成長と発達を促進するための早期介入の恩恵を受ける可能性があることを強く示唆している。」
この研究に関するレポートはJournal of Clinical Oncology誌に発表された。
https://ecancer.org/en/news/20261-by-age-10-retinoblastoma-patients-learning-and-life-skills-rebound
(2021年5月7日公開)