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e-cancer:大腸がん メイヨークリニックでの研究で、6例中1例の患者で大腸がんが遺伝性の遺伝子変異に起因することが発見される

06 May 2021

メイヨークリニックで実施された新たな研究により、大腸がんはしばしば家系の遺伝子でインプリントされ、一つの世代から次の世代へと継承されることを示すエビデンスが裏付けられた。

本研究はClinical Gastroenterology and Hepatology誌で発表された。研究者らは、メイヨークリニック内の個別化医療センター(Mayo Clinic Center for Individualized Medicine)で、大腸がん患者6例中1例が遺伝によって受け継がれたがん関連遺伝子変異を有し、おそらくそれが疾患の素因になっていることを明らかにした。

また、研究者らは、標準的なガイドラインに基づくアプローチを取っていた場合には、これらの症例の60%は検出されなかったことも指摘した。

メイヨークリニックの消化器病専門医・肝臓専門医であり、本研究の上席著者であるNiloy Jewel Samadder, M.D.は、次のように述べている。「大腸がん患者361例のうち15.5%は、がんの発生と関連のある遺伝子において変異が遺伝的に継承されていることに気づいた。

また、そのような患者の場合、10例中1例を超える割合で、各患者の内科的または外科的な治療法が遺伝的所見に合わせて調整されていることも判明した」

これらの患者には、80超の発がん性遺伝子または病因となる遺伝子を対象としたシーケンスパネルを使用して検査を行った。参考までに、大腸がんのための標準的なパネルの場合、20数種の遺伝子のみが対象である。

大規模コホート(3,000例)を対象に、前向き遺伝子診断を使用してがんの病因を問う2年間のInterrogating Cancer Etiology Using Proactive Genetic Testing(INTERCEPT)試験が行われた。これに参加した大腸がん患者は、アリゾナ州、フロリダ州、ミネソタ州にあるメイヨークリニックのがんセンターで新たにさまざまながんと診断された患者であった。

メイヨーの個別化医療センターでアソシエイトディレクターを務めるAleksandar Sekulic, M.D., PhDは、次のようにコメントしている。「INTERCEPT試験を通して、当センターでは、すべてのがん患者に対し当該の質問を行った。

Samadder博士らのグループが発表したその調査結果は、遺伝子が大腸がんの発生において果たす役割に新たな光を当てるものであった」

この大腸がんの研究では、一般的な検査のアプローチと、さらに幅広い遺伝子パネルを利用して隠れて継承された遺伝子の変異を明らかにすることで、家族内のがんを管理し、がんに対する標的療法で救命できる機会が得られる可能性がある。

American Cancer Societyによると、大腸がんは米国のがんによる死亡原因の第2位である。

大腸がんは、早期発見が難しいその他の多くのがんと同様に、ポリープに端を発する。このポリープは大腸内視鏡検査で検出され、がんの発生や転移を防ぐために除去される。

American Cancer Societyでは、大腸がんの平均的なリスクを有する人に対し、45歳から定期的なスクリーニング検査を受けることを推奨している。

Samadder博士は、「大腸がんのスクリーニング検査は、この致死的な疾患と、その結果として生じる多くの不必要な死亡の予防に重要な方法である。「スクリーニング検査は、大腸内視鏡検査、検便、または専門のCTスキャンでも実施できる」と語る。

本研究でSamadder博士の研究チームは、患者の出生に伴う、がんが発生する素因を作った遺伝子の変異体(変異)を調査した。変異とは、遺伝子のDNAの異常な変化である。

遺伝子変異はさまざまな方法で細胞に影響を及ぼす可能性があり、タンパク質に干渉することや、遺伝子が活性化される原因となることがある。

単一の細胞内で偶然生じる大腸がんを引き起こす多くの変異には、環境因子、食事、喫煙、および飲酒などがあるが、この研究では多くの場合、がんにつながり得るイベントのサイクルを割り当てる変異が遺伝的に継承されていることが確認された。

Samadder博士は次のように説明する。「最も多くみられる変異は、大腸がんと典型的に関連のある遺伝子で見つかっているが、我々の研究では、乳がんと卵巣がんに典型的に関連のある遺伝子にかなりの数の変異が存在することが分かった。

これは、そのがんに特有の遺伝的ベースに基づいた新規の標的療法につながるかもしれない。例えば、乳がんの治療薬を大腸がん患者に利用できる可能性もある」

患者が遺伝的に継承したがんを発見することと同様に重要な点は、患者に疾患の遺伝性の原因を血縁者と共有する可能性が潜在的にあること、また早期発見やがん管理に対するケアを家族が求められるようになることである。

また、Samadder博士は「遺伝学的な面からみて、この研究結果の強みは、患者以外の家族に今後発生するがんを予見できる点にある。これにより、高リスク者をターゲットとしたがんのスクリーニング検査が可能になり、家族の次世代も含めたがん予防を見込める」とも述べている。

本研究では、遺伝子の変異を有する患者と血縁関係にある家族全員に対し、無料で遺伝子検査を用意した。これらの家族のうち、検査を受けたのは全体のわずか16%のみであったが、このことは遺伝子診断には金銭面以外の障壁があることを示唆している可能性がある。

Samadder博士は、次の段階ではメイヨークリニックのがん患者全員のケアに、今回の研究から得られた所見を組み込むことになると語る。

「次の段階では、がんの発生につながる遺伝子を把握しやすくし、また治療法の焦点を正確に定めて生存率を改善する方法の理解を深められるように、ゲノムの配列決定をすべての患者に確実に提供する」とSamadder博士は述べている。

遺伝子の配列決定、欠失、および重複に関する解析と変異体の解釈は、サンフランシスコのInvitae社で行われた。Nussbaum博士はInvitae社のchief medical officerである。

本プロジェクトは、Mayo Transform the Practice Grant、Mayo Clinic Center for Individualized Medicine、Desert Mountain Members’ CARE Foundation、およびDavid and Twila Woods Foundationの各組織から資金提供を受けた。

https://ecancer.org/en/news/20151-mayo-study-finds-colon-cancer-driven-by-hereditary-gene-mutations-in-1-in-6-patients

(2021年4月21日公開)

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