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25 Feb 2021
免疫チェックポイント阻害剤は一部の患者にとって、間質性腎炎として知られる急性腎炎などの悪影響を与えるおそれがあることが、Kidney International Reports誌に掲載されたMayo Clinicの研究者らによる研究で明らかとなった。
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系を刺激してがん細胞を攻撃する作用があるため、がん治療に用いられている。
「免疫チェックポイント阻害剤は、メラノーマ、非小細胞肺がん、腎がんなど、さまざまな悪性腫瘍の患者の予後を改善してきた」と、Mayo Clinicの腎臓内科医で本研究の筆頭著者であるSandra Herrmann博士は述べている。「一部の患者では、この強化された免疫反応が腎臓組織を標的とし、間質性腎炎として知られる急性腎炎を引き起こすおそれがある」
Herrmann氏は、腎生検がこの病気を診断するためのゴールドスタンダードであると述べた。
ただし、腎生検は侵襲的な手技であり、出血のリスクがあるため、実施できない患者もいる。
「我々の研究は、がん治療のため免疫チェックポイント阻害剤が投与されている患者の急性腎障害の原因を日常的に評価するためのバイオマーカーの使用に関する重要なデータを臨床医と患者に提供する初めてのものである」とHerrmann氏は述べた。
「これらのバイオマーカーは、医師が治療に関連する腎障害を他の原因から区別するのに役立つ可能性があり、また、発見された損傷が免疫療法に関連していない場合に免疫チェックポイント阻害療法を継続すべきか否かを決める臨床判断に役立つ可能性がある」
本研究で研究者らは、2014~2020年にMayo Clinicで急性腎障害がみられた患者を追跡した。
免疫チェックポイント阻害療法関連の間質性腎炎による急性腎障害を生じた患者では、免疫チェックポイント阻害剤投与を受けたが、他のがん治療に関連する急性尿細管壊死など、免疫チェックポイント阻害剤以外の原因による急性腎障害を生じた患者よりも、腎機能マーカーである血清クレアチニンおよび炎症の程度を示すC反応性タンパク、尿マーカー(尿レチノール結合タンパクと尿クレアチニンの比率)が、有意に高いことが分かった。
「がん患者の急性腎障害が特定の種類のがん治療によるものであるかどうかを、侵襲的検査を必要とせずに判断できることは非常に重要である」とHerrmann氏は述べた。「これにより、患者の精密検査が簡素化され、治療がより安全かつ迅速になり、医師は患者の治療をより適切に進めることができるようになる」
Herrmann氏は、急性腎不全の原因が免疫チェックポイント阻害療法以外であることが分かれば、患者はがん免疫療法を継続することができ、結果的に患者の命を救うことができる、と述べた。
さらに、急性腎不全は患者の予後に深刻な影響を及ぼし、適切に治療する必要があるため、原因を迅速に特定することが重要であると同氏は述べた。
(2021年2月5日公開)