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22 Jan 2021
皮膚のメラノーマは現在、米国で3番目に多く診断されているがんである。メラノーマの診断数は40年前の6倍に上っている。
メラノーマの発生率は急速に上昇しているが、メラノーマによる死亡率は概ね安定している。
New England Journal of Medicine誌に掲載されたSounding Board articleで、Brigham and Women’s Hospitalの外科および公衆衛生センターの主任研究員であり医師・公衆衛生学修士であるH. Gilbert Welch氏らは、精密診断の増加がメラノーマ診断の急増の主な要因だとした。
「今やメラノーマは過剰診断の産物である」とWelch氏は述べた。「従来の対応は定期的な皮膚検査を推奨することだったが、より多くの皮膚検査が行われた結果、メラノーマの診断数が増加しており、定期的な皮膚検査が解決策とならない可能性は非常に高い」
多くの事例があるが、Welch氏らは、20年前に診断に使用された皮膚生検標本を9人の皮膚病理学者がレビューした研究について説明している。
本研究の結果、以前は良性と診断された検体の多くが、現在はメラノーマと診断された。
Welch氏らはまた、メディケア加入者集団のうち、生検を受けた人の割合が2004~2017年まで毎年増加しており、この間にほぼ倍増したことを示すデータも提示した。
同じ期間に、65歳以上の成人におけるメラノーマ発生率も倍増した。
メラノーマを過剰診断した場合、瘢痕形成、創傷感染、検査の自己負担費用などの短期的な害から、症候性皮膚疾患のある人々の治療が遅れるなどの長期的な影響まで、多くの害を生じさせる可能性があると指摘している。
「医療関係者が最善の結果を意図しているにもかかわらず、精密検査が増えると、無症候性の形態があることが知られているあらゆる疾患の過剰診断と介入が増える可能性がある。メラノーマもその例外ではない」と著者らは述べている。「Covid-19によって引き起こされた経済的混乱がある状況では、医師は過剰診断によって不要な治療行為を要する経済的負担から人々を守るべきである」
https://ecancer.org/en/news/19378-an-epidemic-of-overdiagnosis-melanoma-diagnoses-sky-rocket
(2021年1月7日公開)