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e-cancer:大腸がん 確認されている大腸がんに対する新たな予後マーカー

26 Nov 2020

腸管関連リンパ組織は免疫系にとって不可欠な部分となっている。

孤立リンパ組織(ILS)は、粘膜関連リンパ組織の中でも強力かつ重要な役割を果たすものの1つである。

さらに、がんの経過においては、異所性リンパ組織(ELS、三次リンパ組織[TLS]としても知られる)が腫瘍部位に形成されることが明らかになっている。

ILSとELSはともに多面的な免疫反応を引き起こす、マルチタスクを同時に処理する情報センターとして機能する。

ILSとELSの複雑さと機能についての深い理解は、オーダーメイド医療の一環となる治療介入に新たな方向性をもたらし、および/または治療の決定に役立つ可能性がある。

ウィーン医科大学とその共同パートナーの研究者らが最近発表した研究では、ILSが転移性大腸がんの病理生物学を統合し、予後に影響を与える新たな因子であるとみなしている。

急速に発展しているがん免疫分野において蓄積したデータにより、腫瘍浸潤B細胞は抗腫瘍免疫に強力に寄与するものの1つと位置付けられている。

B細胞の生態である適応免疫、および炎症過程を腫瘍内微小環境に関連付ける1つの最も重要な側面は、ELSを形成するB細胞の固有な能力が根拠になっている。

この中心にあるものは胚中心反応であり、これにはB細胞が中心的役割を果たす様々な種類の免疫細胞の協調作用も含まれる。

固形腫瘍におけるELSを理解するために考慮する必要がある重要な情報とは、有効な免疫反応や防御免疫反応と自己免疫寛容の間でそのようなリンパ組織が重要なバランスをとっていると生理学的観点から考えられている組織型があるということである。

「これは、上皮バリアで特殊な免疫が働く臓器についても言えることである。その中でもILSが存在する腸管関連リンパ組織は最も強い影響を及ぼす因子の1つである」と、ウィーン医科大学病態生理学・アレルギー研究所の分子系生物学および病態生理学研究グループで治験責任医師および代表を務めるDiana Mechtcheriakova氏は述べている。

「我々は、大腸の非腫瘍組織で事前に形成されている孤立リンパ組織における患者特有の特徴と、転移性大腸がん患者の疾患の病理生物学の間に因果関係があるかを調査することを目的とした」

本研究では、学際的な研究チームがDIICO/免疫のデジタル画像から臨床転帰まで、という名称の新たに開発した統合的戦略を実施した。

DIICOは、免疫細胞や免疫構造に関する暗号化した組織情報を、疾患関連パラメータに合致する数値データに変換することを可能にする、組織のデジタル画像サイトメトリーに基づいている。

重要な追加情報がB細胞のクローン性評価およびオミクスデータの総合的解析によって得られた。

大腸の非腫瘍組織におけるILSの特性は、原発巣や転移巣のELSの免疫表現型を事前に規定することを著者らは明らかにした。

著者らは、B細胞が多く存在し増殖性が高いリンパ組織は転移性CRC患者の臨床転帰が改善される前兆となることを見出した。

本研究から得られた知見によって、腫瘍と免疫の相互作用についての理解を広げ、また、腫瘍組織外部の孤立リンパ組織が誘導する抗腫瘍免疫反応に対して特に関心が向けられている。

https://ecancer.org/en/news/19072-new-prognostic-markers-for-colon-cancer-identified

(2020年11月12日公開)

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