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29 Jun 2020
血液がん患者のCOVID-19感染の転帰を調査する最初の研究の1つが、Queen Mary University of London とBarts Health NHS Trustの臨床研究者らによって行われた。
血液がん患者は、がんの影響による免疫系機能の低下とがん治療の内容により、COVID-19感染のリスクが高い人々であると予想される。
血液がん患者における免疫抑制はまた、感染後のより重篤な転帰につながると予測されている。
しかし、本研究では、患者が免疫機能を低下させる血液がんの集中治療を積極的に行っていたとしても、他の点で健康である限り、通常はCOVID-19から回復することが判明した。
本研究は、British Journal of Haematology誌に掲載されており、COVID-19の検査で陽性となった35人の血液がん成人患者を対象とし、最低14日間調査した。
観察期間終了時に、患者の60%がCOVID-19感染から回復した。
この観察により、COVID-19感染の結果、年齢が最も有意な関連因子であり、COVID-19診断時に死亡した患者のほとんど全員が70歳以上であることが明らかになった。
死亡した患者は、COVID-19感染から回復した患者よりも、高血圧、慢性腎臓病、糖尿病などの併存疾患が著しく多かった。
本研究の筆頭執筆者であるQueen Mary University of LondonのJohn Riches博士は次のように述べている。「これは小規模な予備研究であるが、COVID-19が血液がん患者にもたらすリスクを理解するための最初のステップである。現在、 特定の血液がんの全患者は、ウイルス感染によるリスクを最小限に抑えるように「防御」するように助言されている。しかし、本研究は、血液がんを除いて、ほとんどあるいはまったく病状のない若年患者に対するCOVID-19のリスクは、他の多くの疾患を持つ高齢患者に対するリスクよりも低いことを示唆している」
このデータは、血液がん治療とCOVID-19感染後の転帰との相関関係を示しておらず、血液がん患者はCOVID-19感染後の一般集団よりも転帰は悪いが、大多数は依然として生存していることを示唆している。
本研究は、血液がん患者におけるCOVID-19感染の臨床転帰を調査した今までで最大の研究であるが、この調査結果は、大規模な国内および国際的な登録研究で確認する必要がある。
https://ecancer.org/en/news/17920-impact-of-covid-19-infection-in-blood-cancer-patients
(2020年7月5日公開)