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26 Mar 2020
Nemours Children’s Health Systemの研究者らは、次世代シーケンシング(NGS)を利用して、最も一般的な小児がんである小児白血病のゲノム特性をより正確に特定した。
BMC Medical Genomics誌で発表された本研究は、化学療法下でもわずかに残存する病変を評価し、さまざまな治療法に対する効果を判断するのに役立つ新しい遺伝子構造変異体を特定した。
本研究の筆頭著者であり、Nemoursの臨床生命情報科学ディレクターあるErin Crowgey博士は、「ゲノム研究と技術の進歩により、より正確に小児がんの標的治療を可能にする新しい変異体を発見することができた」と述べた。 「小児白血病は多様で複雑なゲノム構造を有しており、従来のシーケンシング技術では、患者の臨床評価、リスクの特定、治療戦略に導く多くの重要な情報が欠落していた」
研究者らは、32人の小児白血病患者と5人の成人白血病患者の骨髄、細胞株、および臍帯サンプルから得たDNAとRNAを分析した。
患者サンプルは、診断時、最初の治療の終了時および再発時に収集した。
これらのサンプルを、標的DNA/RNAライブラリー濃縮技術を用いた分子バーコードを使用して解析した。
解析により、複数の新規の融合遺伝子と、白血病遺伝子内に今まで知られていなかったコピー数の欠失が特定された。
これにより、これらの遺伝子変異体を高感度で検出できるようになった。
「自分自身の子供ががんであると診断されるのは恐ろしいことです。その病気の臨床症状が独特で、症例に一致する他の研究がないと聞いた場合はなおさらです」とNemoursの患者であるエリオット・ヘイズ君の母、ソフィー・ヘイズさんは語った。 「しかし、ゲノム検査の結果、エリオットのがんが遺伝子レベルでは特異的ではないことがわかり、私たちは研究者とNemoursに非常に感謝しました。この初期の検査によって、新たな治療を受けることができ、私たちは希望を持つことができました」
研究者らは、究極の目標はゲノム検査を日常診療でも定期的に行い、Nemoursの小児がんの特異的ゲノム治療プログラムに導くことにあると述べた。
「Crowgey博士の研究により、複雑なゲノム検査が実臨床に近づき、小児がん治療が改善された」と、Nemours Center for Cancer and Blood Disordersのディレクターであり、論文の共著者であるE Anders Kolb医師は述べた。
(2020年3月6日公開)