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31 Jan 2020
スウェーデンのルンド大学で行われた新しい研究によると、悪性黒色腫に特定のB細胞集団が含まれている場合は、免疫療法によりよく反応し、予後も良好であった。
本研究はNature誌に掲載された。
免疫療法は免疫系を強化し、がん治療の効果を改善できる可能性がある。
免疫療法の1つはチェックポイント療法であり、免疫系の過度な活性化を阻害するチェックポイントを標的としている。
ただし、特定の種類のがんを治療するには、免疫系に備わっているこれらのブレーキを解除する必要がある。これを可能にするのが抗体である。
しかし、全患者で治療が奏効するわけではない。チェックポイント療法が奏効する患者の識別とこの療法をさらに効果的にする方法を知るため、集約的な研究が進行している。
従来の研究では、T細胞と呼ばれる免疫細胞に焦点が当てられてきた。
今回新しく行われた本研究では、免疫療法における別の免疫細胞であるB細胞の役割を明らかにしている。
ルンド大学の研究者は、他のいくつかの国際的な研究グループとともに、悪性黒色腫のB細胞集団、いわゆる三次リンパ様構造(TLS)が予後と関連していることを示唆している。
「悪性黒色腫患者177名の組織サンプルを研究することにより、これらのB細胞構造が腫瘍に存在する場合、患者の予後が良好であり、免疫療法への反応も良いことがわかった」と、本研究を主導したルンド大学のGöranJönsson教授は述べた。
以前から、これらの構造が腫瘍にみられることがあると知られてはいたが、その存在が予後や治療応答と関連づけられたのは今回が初めてである。
本報告が掲載されたNature誌の同じ号では、他の腫瘍とB細胞構造を検討した2件の研究記事も掲載された。これらの報告によれば、軟部肉腫と腎臓がんにおいてもB細胞構造が免疫療法に対する反応の改善と関連していた。
ルンド大学の研究結果は、T細胞だけが重要なのではなく、B細胞もまた癌細胞に対する免疫応答にも役割を果たすことを明らかにした。
「前向き研究を継続し、免疫システムを活性化して腫瘍内にこれらの構造を形成できるかどうか、また、それによって免疫療法の効果を改善できるかどうかを検討していきたい」と、スコーネ大学病院の主任医師であり、 研究にも参加したルンド大学助教授のAna Carneiro氏は結論付けた。
https://ecancer.org/en/news/17205-b-cells-linked-to-effective-cancer-immunotherapy
(2020年1月17日公開)